銘柄レポート🔖 毎週土曜更新
コロナ期の安値150円(調整後)から、2026年2月の高値4,698円まで約31倍。防衛・航空エンジンを柱に売上も利益も過去最高を更新し、今期は「営業利益+45%」を会社が予想する。
それでも株価は高値から▼39%の2,878円——「利益は最高なのに、株価は戻らない」のはなぜか。数字の中身を、この1ページで整理する。
📌 今週の要点:8/5(水)13:00に1Q決算が開示された。営業利益は732億円(前年同期比+250.5%)、通期計画も営業2,400億→2,500億円へ上方修正。ただし1Qの営業利益732億円のうち400億円は不動産の譲渡益で、会社が併記した「不動産売却除く営業利益」は331億円(前年同期比+123億円)。株価は開示日の8/5が前日終値比▼6.5%、週間は▼2.9%(2,744.5円)。同じ週にTOPIXは+1.8%だった。
① 新しく分かったこと
➡️ 1Q決算(8/5・13:00開示)——増収増益。ただし営業利益732億円のうち400億円は不動産譲渡益
売上収益3,745億円(+10.9%)、営業利益732億円(+250.5%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益535億円(+361.3%)。短信本文には「不動産譲渡に伴う400億円の利益計上」と明記され、会社は説明資料で「不動産売却除く営業利益」を331億円(売上収益比8.8%・前年同期比+123億円)と併記している(会社資料は億円未満を切り捨て表示のため、732−400と331には1億円の差が出ます)。営業キャッシュ・フローは432億円の支出超過で、会社は「主に棚卸資産の増加や法人所得税の支払によるもの」と説明している。
→ 解釈:本文が書いた「見出しの数字と、事業の増益の距離」と同じ構図が、1Qでも「+250.5%」と「不動産売却除きで+123億円」という形で出た。会社自身が不動産を除いた数字を並べたことで、この銘柄を追う物差しが1本はっきりした。なお「不動産売却除く」は不動産を外しただけで、為替の影響はこの中に残っている。
➡️ 通期計画を上方修正。増額100億円の内訳は「不動産売却を除く側+70億円」「不動産売却益+30億円」
受注高1兆7,600→1兆7,700億円、売上収益1兆8,300→1兆8,400億円、営業利益2,400→2,500億円、親会社所有者帰属当期利益1,650→1,720億円(EPS 155.09円→161.67円)。営業利益の内訳は、不動産売却除く営業利益が1,500→1,570億円(+70億円)、不動産売却益が900→930億円(+30億円)。会社は修正理由を「第1四半期の航空・宇宙・防衛セグメントの実績、および、不動産売却の進捗を踏まえ」と説明している。配当予想(年23.00円)は据え置き、為替前提は2Q以降1ドル145円。
→ 注記:本文が「営業+45%」と書いているのは、この修正前(計画2,400億円)の数字です。修正後は前期実績1,655億円に対して+51%になります。
➡️ 焦点だった航空・宇宙・防衛は、増収+21.0%に対しセグメント営業利益は+4.4%
売上収益は1,279→1,547億円(+21.0%)、セグメント営業利益は279→291億円(+12億円・+4.4%)。会社の増減要因の説明では為替影響+29億円・事業環境の変化+13億円が挙がり、これに研究費・人件費等の先行投資増がマイナス方向で乗る形。民間エンジン事業の売上収益は858→1,094億円(+27%)。受注高は1,370→1,380億円(+0.8%)で、会社は「防衛は下期において航空エンジン、ロケットモーターの受注・売上が拡大する見通し」と説明している。
→ 解釈:1Qの増益(不動産売却除きで+123億円)の出どころを並べると、資源・エネルギー・環境が営業損益△33→28億円、産業システム・汎用機械が3→55億円と、安定収益事業側の改善が大きい。成長事業として見ていた航空・宇宙・防衛の利益寄与は+12億円で、その増減要因には為替+29億円が入っている。「事業の増益は出た。ただし出どころは、本文が想定していた場所とは違った」というのが1Qの姿。
➡️ 受注高は全体で▼15.0%の3,607億円(前年同期4,243億円)
会社は「エネルギー事業前期大型案件の反動」と説明。セグメント別では資源・エネルギー・環境が1,431→799億円(▼44.2%)、社会基盤が224→161億円(▼28.1%)、産業システム・汎用機械が1,127→1,181億円(+4.8%)。
➡️ 子会社IHIエアロスペースの資格停止処分が、今回の短信に明記された
6/2にJAXAから5か月間の競争参加資格停止処分(機材装置の保全業務で、事実と異なる報告に基づく費用請求が確認されたことが理由)を受けた件について、会社は今回の短信本文に記載し「本件により当社グループ業績への影響がある場合には、速やかに業績見通しへ反映していきます」としている。
→ 解釈:会社は「影響がある場合は反映する」と書いており、今回の見通しにいくら織り込んだ(あるいは織り込んでいない)のかは示していない。宇宙は会社が「育成事業」に置く分野で、業績に数字として出るかどうかは現時点では分かりません。
➡️ 決算前後の値動きと、同じ週に決算を出した同業
8/4終値2,879.5円(+3.9%)→ 8/5は始値2,949円・高値2,965円をつけたあと13:00の開示後に売られ終値2,691.5円(前日終値比▼6.5%)、出来高4,902万株は直近25日平均(1,448万株)の3.4倍 → 8/6終値2,638.5円(▼2.0%)→ 8/7終値2,744.5円(+4.0%)。週間の高値は2,965円(8/5)、安値は2,608円(8/7)。8/7終値は25日線2,814.7円・75日線2,777.3円をいずれも下回っている。
→ 参考:同じ週に三菱重工(8/4・13:30開示)は週間+7.4%、川崎重工(8/7・11:30開示)は+0.6%。ただし開示日が火・水・金とばらけており、週間騰落率に含まれる「決算後の時間」の長さが3社で違います(川崎重工は金曜の半日ぶんだけ)。同じ条件での決算反応の比較にはならない点に注意。
➡️ 信用買い残の整理は7/31時点でも続いている
7/31付の信用買い残は1,694.5万株。前週(7/24付)の1,800.9万株から106.4万株(▼5.9%)減り、5/15のピーク2,670.5万株からは▼36.6%。売り残は42.7万株で信用倍率39.7倍、直近25日の平均出来高(1,448万株)に対しては1.17日分。なお決算をはさんだ8/3〜8/7週ぶんの残高は、まだ分からない。
② 見立ては変わったか → 🚩 要検討。
見立ての骨格——「見出しの営業増益率ではなく、不動産売却を除いた事業側の増益で追う」——は変わらない。むしろ会社自身が「不動産売却除く営業利益」を通期・四半期の両方で並べたことで、物差しとしては使いやすくなった。
検討が要るのは因果の順路のほう。本文は「防衛予算GDP2%と航空需要の拡大 → 受注高・受注残の積み上がり → 四半期の『事業の増益』」という順で書いているが、1Qで実際に利益を押し上げたのは安定収益事業(資源・エネルギー・環境、産業システム・汎用機械)と不動産で、航空・宇宙・防衛の営業増益は+12億円(増減要因のうち為替影響+29億円)だった。会社は「防衛は下期に拡大」と説明しており、1四半期だけで順路が崩れたとは言えない。ただし「成長事業が四半期の利益を牽引しているか」は、四半期をまたいで確かめる論点になった。本文の書き換えは今週は行わず、この🚩を置いておく。
③ 🔒 前に見ていた材料、その後(下の(d)〜(f)の条件文は8/1に書いたまま・書き換えていません。→以下が今回追記した事実です)
(d) 1Q決算で、通期計画の「事業の増益+293億円」に対し、1Qのセグメント利益(防衛/民間航空エンジン)が前年同期からいくら増えたか
→ 会社が開示している単位は「航空・宇宙・防衛」セグメントで、防衛と民間航空エンジンを分けた利益は開示されていません。そのセグメントの営業利益は279億円→291億円で+12億円(+4.4%)。民間エンジン事業について会社が単独で開示したのは売上収益(858→1,094億円・+27%)までで、利益は分かりません。
なお条件が問うた「+293億円」は通期・全社の増減要因ベースの数字で、今回の1Q開示に直接対応する行はありません。近い切り口として会社が示したのは、全社の「不動産売却除く営業利益」が1Qで331億円(前年同期比+123億円)、通期見通しで1,500億円→1,570億円(+70億円)への上方修正——という2つです(対象範囲も期間も違うため、+293億円と直接は引き算できません)。
(e) 決算の開示日から5営業日のあいだ、終値が25日線(7/31時点2,807円)の上に留まるか、下に離れるか
→ 開示(8/5)から3営業日が経過。終値は8/5が2,691.5円、8/6が2,638.5円、8/7が2,744.5円で、いずれも2,807円を下回っている。8/7時点の25日線は2,814.7円。残る2営業日は8/10(月)と8/12(水)(8/11は山の日で休場)。
(f) 8/4(火)公表の7/31付信用買い残が1,800万株を下回るか
→ 1,694.5万株。前週の1,800.9万株から106.4万株(▼5.9%)減っている。
🔒 今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)
(g) 8/12(水)ごろ公表の8/7付信用買い残が、7/31付の1,694.5万株からどちらへ動くか(決算をはさんで整理が続いたのか、買いが入ったのか)
(h) 8/12(水)=決算開示から5営業日目の終値が、25日線(8/7時点2,814.7円)に対してどこにあるか
(i) 会社が言う「防衛は下期に航空エンジン・ロケットモーターの受注・売上が拡大」について、2Q決算(過去3年は11/6〜11/7に開示)では航空・宇宙・防衛の受注高(1Q 1,380億円)の積み上がりと会社説明の更新を見る。下期の売上・利益として実際に出たかどうかは3Q(2月ごろ)以降に確かめる。
④ 📅 次に見るもの——8/10(月)・8/12(水)の終値(決算後5営業日の区切り)・8/12(水)ごろ 8/7付の信用残・9月末の中間期末に向けた為替(会社前提145円/ドル、感応度は1円あたり2〜4Qの営業利益で15億円と会社が開示)・11月上旬の2Q決算(過去3年は11/6〜11/7・13:00〜15:00開示)・IHIエアロスペースの資格停止(6/2から5か月)が業績見通しに反映されるかどうか。
📌 今週の要点:会社からの新しい開示は今週ゼロ。株価は週間▼1.8%(2,827.5円)で、TOPIX(▼0.2%)より弱い1週間だった。7/30に週安値2,701円まで押されたあと、7/31は今週いちばん多い出来高を伴って+2.0%と戻し、25日線の上に乗せて週を終えている。
① 新しく分かったこと
➡️ 信用買い残の整理は、7/24時点でも続いている
7/24付の信用買い残は1,800.9万株。前週(7/17付)の1,936.8万株から1週間で135.9万株(▼7.0%)減り、5/15のピーク2,670.5万株からは▼32.6%。売り残は49.6万株で信用倍率36.3倍、直近の出来高に対しては約1.6日分。
→ 解釈:「下げを買い向かった分の整理が進行中」という本文の見方は、7/24までの数字では続いている。なお7/27〜7/31週ぶんの残高は8/4(火)の公表待ちで、まだ分からない。
➡️ 今週、IHIからの適時開示は1件も出ていない(直近の開示は6/30のコーポレート・ガバナンス報告書)
→ 解釈:業績に関わる新しい数字は今週ゼロ。今週の値動きは、会社が出した新しい数字によるものではない。7/28に市場全体(TOPIX)が▼2.5%下げた日を含む週だった。
➡️ 前提1(防衛予算の拡大)に関わる業界の報道が続いた
7/26に日英伊の次期戦闘機GCAPの機体組み立てを国内(愛知)で担う方向と報じられ、7/28には通信衛星と安全保障を扱う記事、7/31には防衛省が護衛艦のトマホーク実射試験の実施を公表した。
→ 解釈:いずれもIHIが出した数字ではなく、業界の方向性の材料。前提1がまだ崩れていないことの確認材料にとどまり、今期の業績に結びつけられるものではない。
② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし。今週は会社発の新しい情報がなく、業績側の前提は一つも動いていない。株価・需給の動きも、本文の見立て(1Q決算で「事業そのものの増益」が出ているかを確かめる)を崩す内容ではない。
③ 🔒 前回(7/26)条件の答え合わせ
(a) 8月上旬の1Q決算で、今期の営業利益+45%(2,400億円)計画への進捗——特に「事業の増益+293億円」の中身が出ているか
→ ⏳ 進行中。7/31時点で1Q決算はまだ開示されておらず、会社からの正式な発表日の告知も確認できていない。過去の同四半期の開示は2025年が8/6の13:00、2024年が8/6の15:00、2023年が8/8の15:00。
(b) 25日線(2,803円)の上を維持できるか
→ ❌ 未達。7/28(2,774.5円)・7/29(2,755.0円)・7/30(2,771.5円)の3営業日は終値が25日線を下回った。ただし7/31終値2,827.5円は25日線2,807.1円の上に回復して週を終えている。
(c) 7/6の戻り高値3,071円を出来高を伴って超えられるか
→ ❌ 未達。今週の高値は7/27の2,925円で、3,071円まで146円届かなかった。
🔒 今週から凍結する確認条件(8/1〜・次回更新で答え合わせ)
(d) 1Q決算で、通期計画の「事業の増益+293億円」に対し、1Qのセグメント利益(防衛/民間航空エンジン)が前年同期からいくら増えたか
(e) 決算の開示日から5営業日のあいだ、終値が25日線(7/31時点2,807円)の上に留まるか、下に離れるか
(f) 8/4(火)公表の7/31付信用買い残が1,800万株を下回るか(整理の進行が続いているか)
④ 📅 次に見るもの——8/4(火)7/31付の信用残・8/6(木)ごろ 1Q決算(2025年は8/6の13:00に開示。会社が正式発表したらカレンダー欄を確定日に置き換えます)・決算と同時に出る通期計画の据え置き/修正・同業(三菱重工・川崎重工)の決算。
未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。
丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。
出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™
前期は受注・売上・営業利益・純利益すべて過去最高。今期も営業2,500億円(+51%・8/5上方修正)と3期連続最高を予想。ただし純利益は+7%(1,720億円)どまり——前期の純利益には税効果(+482億円)という一回きりの押し上げが入っていた反動で、EPSは151.88円→161.67円にとどまる。営業増益+845億円の中身も、不動産売却益930億円(前期224億円)が大きく、これを除いた不動産売却除く営業利益は1,431億円→1,570億円(+139億円)。実力の伸びはこの行で追うのが安全。
信用買い残1,937万株はピーク(2,671万株・5/15)から▼27%。買い残のピークが高値の2月でなく下落中の5月に来ている=下げ局面を買い向かった資金が多かった証拠で、その整理が6月から続いている。1日の出来高約1,200万株に対して約1.6日分と回転は軽い(倍率48倍は売り残の少なさによる見かけで、大型株は回転日数で見る方が実態に合う)。1日の売買代金は平均490億円(直近60日)と厚く、板の薄さの心配はない。時価総額 約3.1兆円。
2月高値4,698円→6/11安値2,245円の▼52%調整を経て、7月は反発基調。いまの2,878円は25日線(2,803円)の上・7/6の戻り高値3,071円の下。確認は ①25日線の上を維持 ②戻り高値3,071円超え ③8月上旬の1Q決算 で。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
一つの好材料で上がったのではありません。コロナで航空エンジン需要が消えた谷を土台に、防衛予算の倍増方針(2022年12月)、業績のV字回復と株式分割(2025年)、輸出ルール緩和とミサイル増産(2026年)が順に重なりました。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
① 開示は13:00、反応は当日の午後から
IHIの決算開示は13:00(昼休み明け直後)が定例です。2/10の3Q(当日+4.9%で高値)も5/8の本決算(当日+0.5%→翌日▼6.2%)も、当日の午後にまず反応が出て、翌日に本音が出るという2段構えでした。引け後開示の会社(翌日反応)とは時間の流れが違います。
② 「営業+45%」と「EPS+2%」——どちらも本当
今期予想は営業2,400億円(+45%)と純利1,650億円(+2%)が同居します。前期の純利に税効果+482億円という一回きりの押し上げが入っていたためで、どちらの数字を物差しにするかで割高感が全く変わります。株価はEPSの方(PER 18.6倍)を見て動いている、というのがこの2年の実測です。
③ 営業利益には資産売却が混ざる
前期の営業1,655億円には不動産売却益224億円が、今期の2,500億円にも930億円が含まれます(会社の説明資料に明記)。事業の実力は会社が併記する「不動産売却除く営業利益」の行で追う——前期1,431億円(売上収益比8.7%)→今期1,570億円(同8.5%)=+139億円、1Q実績は208億円→331億円(同6.2%→8.8%)です。決算説明資料でこの行を見る癖をつけると、この銘柄は読みやすくなります。
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。IHIは1853年(嘉永6年)の石川島造船所を起源とする重工大手——航空・宇宙・防衛(戦闘機エンジン・ミサイル・ロケット)、資源・エネルギー(原子力・アンモニア燃焼)、社会基盤(橋梁・シールド)、産業システム(車両過給機ほか)の4事業。東証プライム上場・3月決算(IFRS)。数字の出どころは決算短信・決算説明資料の実数です。
今期(2027年3月期)予想の読み方 ── 営業2,500億円(8/5上方修正・前期比+845億円)のうち、会社が不動産売却益として見込むのは930億円。これを除いた「不動産売却除く営業利益」は1,570億円で、前期1,431億円に対し+139億円——これが8/5時点で会社が示している事業側の伸びです。
なお5/8の初回計画(営業2,400億円)時点では、増減要因図に事業の増益+293億円・為替▲62億円・’25資産売却の反動▲224億円・その他+38億円(’25構造改革費用の反動+187億円と運搬機械など譲渡益の反動▲149億円)+地政学リスク等のバッファ、という内訳が示されていました。この+293億円は上の+139億円の内側にある一項目で、為替やバッファを差し引く前の数字です。二つを並べて足すことはできません(会社は8/5に+293億円の更新値を示していません)。達成の危うさを見るなら「為替」と「不動産売却の実行」を追う。
この鎖のどこかが切れると、下の「前提」が崩れます。確認の場は四半期決算(13:00開示)と防衛・エネルギー政策のニュース。受注は先に見えるぶん、鎖の弱点は「利益への転換」と「為替」に集中しているのがこの銘柄の特徴です。
ただし2026年度1Qでは、増益の出どころはこの順路の外にあった——航空・宇宙・防衛の営業利益は279億円→291億円(+12億円・率21.9%→18.9%)にとどまり、増減要因には為替+29億円が含まれる。1Qの増益を押し上げたのは資源・エネルギー・環境(△33億円→28億円)と産業システム・汎用機械(3億円→55億円)だった。会社は防衛の拡大は下期と説明しており、1四半期で順路が崩れたとは言えないが、成長事業が四半期の利益を牽引しているかは四半期をまたいで確かめる論点になった。
外れる条件:2Q決算(11月上旬ごろ)でも航空・宇宙・防衛の営業利益率が18.9%から回復せず、通期の不動産売却除く営業利益の累計進捗が1,570億円の40%(628億円)に届かない場合、この順路の書き方は見直す。
その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く
短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります。
PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算・株式分割は調整済み)。
計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益(分割調整後)。IHIの決算開示は13:00(場中)のため当日から、引け後開示(2024/5/8)のみ翌営業日から分母に反映。
読み方 ── この2年でPERは10.4倍→高値時38倍→いま18.6倍と動きました。利益も伸びましたが、それ以上に「PERの水準そのものが切り上がった」(リレーティング)のがこの銘柄の本質です。防衛という長期テーマに、市場が「ふつうの重工」より高い物差しを許した——いまの18.6倍は、2月の38倍からは大きく冷えた一方、2024年の10.4倍に戻るとも見られていない、「新しい物差しがどこで落ち着くか」を探している途中の値です。EPSがほぼ横ばい(+2%予想)のいま、株価の変動はほぼそのままPERの変動=期待の増減を意味します。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの2,744.5円(8/7終値)は、「防衛予算の拡大が続き、営業2,500億円(うち不動産売却除き1,570億円=前期比+139億円)が達成される」という前提を織り込んだ値段です。前提のくわしい中身は上の②で見た3つ。
崩れる合図──8月上旬の1Q決算で事業の増益が確認できない/円高の進行(前提145円・感応度20億円/円)/防衛政策の後退や大規模な緊張緩和。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
売買の指示はしません。過去1年の値動きが「どの価格帯で折り返してきたか」を、機械的なルールで塗った地図です。決めるのは、この地図を見たあなたです。
この地図には2種類の帯があります。面の帯(塗り)=10日以上離れて3回以上、値動きが折り返した価格帯。青の斜線=下げ止まりの記録がある支持帯、橙の点=上値を抑えられた記録がある抵抗帯。枠の帯(囲み)=大きな値動きが始まった起点の値幅(青枠=上向き、橙枠=下向きの起点)。帯の位置は機械的なルールで引き、名前(支持帯・抵抗帯・上場来高値の帯など)は分かりやすさのための呼び名です——手で選んでいません。チャート上の①〜⑤は、下の説明と対応しています。各帯のPERは会社予想EPS 161.67円(2027年3月期・2026-08-05開示)で換算した参考値で、予想EPSが変わればPERの位置も動きます。現在値 2,759円は③25年12月の大きな上げの起点の帯(2,733〜2,794円)の中にあります。
接触3回:反落3・上抜け0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=10/09、10/28、07/07
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触3回:反落3・上抜け0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=12/09、05/26、06/18
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
2025-12-30から5営業日で+17.4%の上げが始まった日の値幅(6.0ATR)|その後の再訪5回:下げ止まり1・割れ3・未決着1|④の帯と一部交差
接触5回:下げ止まり5・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=10/14、11/25、12/18、07/01、07/17
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触3回:下げ止まり2・割れ0・未決着1|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=08/07、09/18、06/11
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
5営業日で-18.8%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で+30.9%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で+10.3%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-23.8%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
参考:PERの物差し(会社予想EPS 161.67円=2027年3月期予想・2026-08-05開示)
13倍=2,102円/14倍=2,263円/16倍=2,587円/17倍=2,748円/19倍=3,072円/20倍=3,233円。現値2,759円≒PER17.1倍。
※PERは会社予想が変わればラインごと動きます。帯とPER水準が重なるのは結果であって、どちらかが根拠というわけではありません。
⚠ 過去に折り返した帯・値動きの起点の帯は約束ではありません。支持帯を終値で2日連続下回った場合は、その帯の下げ止まり記録が崩れたものとして、次の開示と市場全体の地合いを確認します。帯のルール=面の帯:10日以上離れた接触3回以上・幅は接触価格±0.25ATR/枠の帯:直前5日の終値最安(最高)の日から5営業日以内に3.0ATR以上動いた日の値幅(値動きの大きい順に各方向3本まで・今回ほかに4本の起点を省略)。この帯は毎週、同じルールで機械的に引き直します。
下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。
信用残の1年
信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移(株式分割前の週は7倍換算で連続化)
左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。2025/10/1の1:7分割前の週は株数を7倍に換算して接続。
まとめ ── 需給の重し(信用買い残)は下落局面で膨らんだ分の整理がピーク比▼27%まで進み、回転も軽い。トレンドは6月に底をつけて反発中だが、上には戻り売りの節が続く。全体の結論は最終章「総合判断」へ。
ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:全項目過去最高で3期連続最高益予想。ただし純利は+7%で、営業+51%には不動産売却益930億円が混ざる——実力は「不動産売却除く営業利益(今期1,570億円・+139億円)」で追う/需給:買い残は5月ピーク比▼27%・回転約1.6日分と軽い/テクニカル:▼52%調整から反発中・25日線と戻り高値3,071円の攻防。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
決算数値は適時開示の実数。セグメント・増減要因は会社説明資料の記載に基づきます。