銘柄レポート🔖 毎週土曜更新
売上5兆1,102億円は電線御三家で最大——AIで沸く光配線も、電力ケーブルも、自動車のワイヤハーネスも、全部持っている会社。株価は年初1,581円から2.3倍の3,712円(6/3)まで買われ、いまは▼43%の2,129.5円。急騰の倍率も下げの深さも古河(6.2倍→安値まで▼58%)に比べれば穏やかだが、8月の戻りでは3社で唯一取り残された。
事業の広さは、振れ幅を抑える安定装置なのか。それとも評価を薄める要因なのか——御三家で最も低い予想PERの意味まで、この1ページで整理する。
📌 今週の要点:8/6の古河電工、8/7のフジクラで御三家の1Qが出そろい、3社とも通期予想を上方修正、3社とも理由にデータセンター関連を挙げた。ただし株価は分かれ、週間で古河+22.6%・フジクラ+24.3%に対し、住友電気工業は▼2.5%の2,129.5円(TOPIXは+1.8%)。8/3には取引時間中に1,973円をつけている。
① 新しく分かったこと
➡️ 1. 古河・フジクラも通期を上方修正。3社に共通する説明はデータセンター(8/6・8/7開示・1Q決算短信)
古河電工の1Qは売上3,652億円(前年同期比+24.3%)・営業利益255億円(同+205.4%)。光ソリューションが売上600億円(+45.6%)・営業利益92億円(前年同期比99億円の改善)、情報コンポーネントが売上596億円(+32.8%)・営業利益74億円(+105.2%)で、どちらも増収理由を「データセンタ関連製品等の売上増」と説明。通期の営業利益予想は1,230億円(前期比+92.6%)へ修正された。
フジクラの1Qは売上4,020億円(+50.1%)・営業利益1,048億円(+155.1%)。情報通信が売上2,644億円(+83.9%)・営業利益980億円(+188.3%)で、「米国以外の新規データセンタ案件として光コンポーネント製品の大量受注があり」と説明。通期の営業利益予想は4,320億円(前期比+128.9%)へ修正された。
→ 解釈:3社の説明の向きはそろった。そろわないのは、その説明が会社全体の業績に占める大きさ。1Qの売上に占める光・情報通信の比率はフジクラ65.8%・古河32.7%(光ソリューション+情報コンポーネント)・住友電気工業6.5%、営業利益では93.5%・65.2%・28.1%。同じ材料でも、業績への寄与度が違う。
➡️ 2. 古河が光ファイバ生産に約1,000億円の設備投資を開示(8/4・適時開示)
米国・ブラジル・日本・インドの4拠点で実施し、2028年度下期より順次稼働の予定。ローラブルリボンケーブルの製造能力をファイバ数量換算で2025年度末対比おおむね2倍にする計画で、開示には「長期のものも含め、顧客からの購入コミットメントを確認しております」と書かれている。2027年3月期の連結業績への影響は軽微としている。
→ 解釈:光ファイバの需要側に長期の購入コミットがあることを、競合の開示が示した形。同時に、2028年度下期以降は同じ市場の供給能力も増える計画だ。住友電気工業の情報通信関連事業にとって、どちらの向きにも読める材料。
➡️ 3. 年初来高値からの下落率で、御三家の順序が入れ替わった
8/7終値と、株式分割を調整した取引時間中の年初来高値で比べると、住友電気工業▼43%(6/3の3,712.5円)・古河▼38%(5/27の6,241円)・フジクラ▼35%(5/14の7,933円)。7/31時点は住友電気工業▼41%・フジクラ▼47%・古河▼50%で、住友電気工業が3社で最も浅かった。順序が入れ替わったのは今週。
② 見立ては変わったか → 🚩 要検討(2点。本文の見立ては書き換えていません)
・「御三家で上げも下げも小さい」——先週(7/24→7/31)は住友電気工業▼11.5%・フジクラ▼9.2%・古河▼7.2%で3社中いちばん大きい下落率、今週は3社で唯一の週間下落。年初来高値からの下落率も8/7時点で3社中いちばん深い(上記①-3)。「上げが小さい」の部分は変わらないが、「下げも小さい」の部分は2週続けて実測と合っていない。本文の該当箇所は次回の本文更新で扱う。
・「広さの割引」——会社予想PERは住友電気工業19.5倍(1株利益108.99円)・古河25.8倍(同149.25円)・フジクラ26.3倍(同196.88円。いずれも8/7終値で換算)。7/31時点は住友電気工業20.0倍に対し、古河・フジクラは決算前の1株利益で約27倍・約30倍だった。両社の1株利益が決算後の数字に入れ替わったことで差は縮んだが、御三家で最も低いことは変わらない。
③ 🔒 前に見ていた材料、その後(8/1に書いたまま・書き換えていません。太字が8/1時点の条件文、「——」以降が今週の実測です)
(a) 8/3(月)以降、1Q決算と上方修正に対して株価がどう動くか——8/3は終値2,062.5円(▼5.6%)で、同日の取引時間中安値1,973円と終値2,062.5円は、株式分割を調整して比べると2/6以来の低さ。以降は8/4 +4.8%の2,161.5円、8/5 +9.7%の2,371.5円、8/6 ▼9.0%の2,158.5円、8/7 ▼1.3%の2,129.5円。週間は▼2.5%で、同じ週の古河+22.6%・フジクラ+24.3%・TOPIX+1.8%とは方向が分かれた。週間の出来高1億5,473万株は前週の1億5,698万株とほぼ同水準。
(b) 25日線2,487円を終値で上回る日が出るか——週内で最も高い終値は8/5の2,371.5円。同日時点の25日線は2,398.5円で、終値が25日線を上回った日はなかった。25日線は8/7時点で2,349.1円まで下がっている。
(c) 8/6の古河電工、8/7ごろのフジクラの1Q決算で、光・データセンター向けの需要コメントが住友電気工業の1Qと同じ方向か——両社とも増収の理由にデータセンタ関連製品を挙げ、通期予想を上方修正した(上記①-1)。株価は、古河が決算前の8/4 +11.4%・8/5 +9.9%で、開示当日の8/6は▼0.3%。フジクラは開示当日の8/7が+12.8%。
(d) 8/4ごろ 7/31時点の信用残公表(8/1の④に記載)——信用買い残は7/31時点で1,234.9万株。直近3回は7/17の1,145.1万株→7/24の1,096.5万株(▲48.6万株)→7/31の1,234.9万株(+138.5万株)という並び。売り残は131.3万株で、倍率9.41倍(7/24は9.39倍)。
今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)
・8/10(月)以降、御三家の1Qが出そろった後の、3社の値動きの差。8/7終値時点の年初来高値からの下落率は住友電気工業▼43%・古河▼38%・フジクラ▼35%
・8/12(水)ごろ公表の、8/7時点の信用残(8/11は山の日で休場)。7/31時点は買い残1,234.9万株・倍率9.41倍で、1週間で+138.5万株
・25日線(8/7時点2,349.1円)を終値で上回る日、または8/3の取引時間中安値1,973円を下回る日が出るか
④ 📅 次に見るもの——8/12(水)ごろ 8/7時点の信用残公表(8/11は山の日で休場)→ 9月上旬ごろ 2Q決算の予定日公表(前期は9/2に公表)→ 2Q決算は例年10月末〜11月初(前期は2025/10/31、その前は2024/11/1)。
📌 今週の要点:7/31の15:00に1Q決算。営業利益は前年同期比+61.0%、通期の営業利益予想は4,250億→4,500億円へ修正された。東証の取引終了は15:30なので、この日の値動きに含まれるのは開示後の30分だけ。株価は週間▼11.5%の2,184円で、古河▼7.2%・フジクラ▼9.2%より下げ幅の大きい1週間だった(TOPIXは▼0.2%)。
① 新しく分かったこと
➡️ 1. 四半期ベースで、情報通信が自動車を上回る利益部門になった(7/31開示・1Q決算短信)
1Qのセグメント営業利益は情報通信272.5億円(前年同期比+191.2億円)に対し、自動車260.3億円(同▲5.6億円の減益)。情報通信は売上864.8億円(+248.2億円)で利益率31.5%。会社は「生成AI市場の拡大を背景に、データセンター向けの光配線機器、光デバイスなどの需要が増加」と説明している。
→ 解釈:本文で「利益構成が入れ替わる年」と書いた構造が、1Qの数字として出た形。ただし1四半期の実績であり、通年でこの順位が続くかは決まっていない。
➡️ 2. 通期予想を上方修正。配当予想は据え置き(5/12公表比)
売上5兆3,000億→5兆4,000億、営業利益4,250億→4,500億(+5.9%)、経常4,320億→4,600億、純利益3,200億→3,400億、1株利益102.57円→108.99円。第2四半期累計も営業1,670億→1,950億へ。年間配当予想は39円(7/1効力の1:4分割後・分割前換算156円)で修正はない。
➡️ 3. 会社が「中東情勢」を売上・コストの両面で名指しした
自動車部門は売上が+1,322.0億円と伸びた一方、営業利益は▲5.6億円の減益。会社は減益の理由として「中東情勢の影響による原材料価格上昇」を挙げている。業績予想を修正した説明でも「中東情勢に起因する一部売上の減少やコスト上昇を吸収し」と書かれた。逆方向の材料としては、産業素材関連が「タングステン市況が高騰し需給がひっ迫するなか」超硬製品の受注を伸ばし、営業利益170.5億円(+114.2億円)と5部門で3番目に大きい利益になっている。
② 見立ては変わったか → 🚩 要検討(2点。本文の見立ては書き換えていません)
・「御三家で上げも下げも小さい」——年初来高値からの下落率は住友電工▼41%・フジクラ▼47%・古河▼50%で順序は変わっていない。ただし今週に限ると▼11.5%で3社のうち最も下げており、下げ局面で3社中いちばん大きい下落率になったのは今週が初めて。
・「利益構成が入れ替わる年」——1Qで情報通信が自動車を上回った(上記①-1)。本文の該当箇所は次回の本文更新で扱う。
③ 🔒 前に見ていた材料、その後(7/24に書いたまま・書き換えていません。太字が7/24時点の条件文、「——」以降が今週の実測です)
(a) 7/31の1Q決算——情報通信の年間計画(売上5,000億・営業利益1,300億円)に対し、1Qは売上864.8億円(17.3%)・営業利益272.5億円(21.0%)・利益率31.5%。全社の1Q営業利益970.6億円は、修正後の通期4,500億円の21.6%。7/24に書いた「営業利益4,250億円予想」は、7/31に4,500億円へ修正された。
(b) 押し安値2,151.5円(7/17)を終値で維持できるか——7/28終値2,187.5円まではこの水準の上。7/29終値2,072円・7/30終値2,109.5円はこれを下回った。7/31終値は2,184円。週間安値は7/29の2,002.5円。
(c) 2,600円台を出来高を伴って回復できるか——週間高値は7/31の2,450円(同日の寄付値)で、2,600円台には届いていない。なお7/31の出来高6,308万株は年初来で最も多い。
今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)
・8/3(月)以降、1Q決算と上方修正に対して株価がどう動くか。7/31は前日比+16.1%の2,450円で寄り付いた後に上げ幅を縮め、+3.5%の2,184円で引けたが、この値動きの大半は15:00の開示より前のもの(同日の前日比は古河+13.2%・フジクラ+12.2%)
・25日線2,487円(7/31時点。7/24は2,691円)を終値で上回る日が出るか
・8/6の古河電工、8/7ごろのフジクラの1Q決算で、光・データセンター向けの需要コメントが住友電工の1Qと同じ方向か
④ 📅 次に見るもの——8/3(月)決算後の初動→ 8/4ごろ 7/31時点の信用残公表 → 8/6(木)14:00 古河電工1Q→ 8/7(金)ごろ フジクラ1Q(予測日)→ 8/7(金)21:30 米雇用統計(東京が反応するのは8/10)。
未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。
丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。
出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™
営業利益4,182億円(+30.4%)は過去最高。AIデータセンター向けの情報通信部門は増収+46.3%・営業利益ほぼ4倍と急伸中。前期実績では情報通信は売上の6.4%・利益の18.5%、利益の43%は自動車部門。ただし今期会社計画では情報通信の営業利益が1,300億円(+68%)=セグメント利益の約31%へ拡大する——看板と実態の距離は、計画どおりなら今期急速に縮まる。来期の純益▼13%予想は住友電設売却の特益剥落が主因(売却益を除く実力ベースでは会社は実質増益を見込む)で、営業利益は+1.6%と横ばい予想。
信用買い残1,145万株(分割換算)は5月中旬の約900万株から下落局面で増加=逆張り・難平とみられる買いの積み上がり。6/29権利落ちの1:4分割で出来高は2,000万株台へ増え、個人が入りやすくなった直後の1週間で▼14%——買いやすさは下げの速さでもあるのは古河と同じ構図。
6/3高値3,712円→7/17安値2,151.5円(▼42%)の調整を経て、2,400〜2,500円台の攻防。いまの2,469円は25日線(2,691円)の-8.2%下。確認は ①押し安値2,151.5円(7/17)を守るか ②戻り高値2,624円(7/10・取引時間中)超え ③7/31の1Q決算 で。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
2025年末を起点にすると、古河6.2倍・フジクラ2.7倍に対して住友電工は2.3倍。下げの深さ(高値→最安値)も▼47%と、フジクラ▼54%・古河▼58%より浅い——ここまでは「振れ幅がいちばん小さい」という一貫した姿です。ところが8/7終値で高値からの下落率を比べると、住友電工▼43%・古河▼38%・フジクラ▼35%で順序が入れ替わります。理由は下げ方ではなく戻り方で、3社とも7月末〜8月頭に安値をつけたあと、8/3〜8/7の1週間で古河+22.6%・フジクラ+24.3%が急反発したのに対し、住友電工だけ▼2.5%と動かなかった。この「振れは小さいが、戻りにも乗らない」という性格を層ごとに分解します。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
① 開示は15:00、反応は翌営業日から
決算は15:00(引け後)が定例です。古河(14:00場中)と違い、当日の株価は決算を織り込んでいません。決算の夜にPTS・ADRを見て、翌朝の寄りで答えが出る——2/3の上方修正も、翌日の反応は+2.3%と静かでした。
② 「減益予想」の中身を分けて読む
来期の純利益▼13%予想は、住友電設の株式売却益(特別利益)の剥落が主因です。売却益を除く実力ベースの前期純利益は2,993億円(会社開示)なので、予想3,200億円は実質増益。本業の営業利益は4,250億円(+1.6%)と横ばい予想——ただし中身は情報通信+526億・環境エネ▼466億(住友電設除外)の入れ替えです。見出しの「減益」だけで判断すると、本業の温度を読み違えます。
③ 御三家の先頭打者として読む
1Q決算は御三家で最初(7/31)に出ます。この会社の光・電力の需要コメントは、1週間後のフジクラ・古河の決算の先行指標。3枚のページを並べて、テーマ全体の温度を測るのが電線株の読み方です(フジクラ・古河のページもあります)。
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。住友電気工業は自動車(ワイヤハーネス・防振ゴム)・環境エネルギー(電力ケーブル・受変電)・情報通信(光配線・光デバイス)・エレクトロニクス(FPC)・産業素材(超硬工具・ダイヤ製品)の5部門。東証プライム上場・3月決算。数字の出どころは決算短信の実数です。
読み方 ── 株価のテーマ(AI×光)と利益の主役(自動車)がずれている。ただし今期の会社計画では、この構成が大きく入れ替わる。決算説明資料のセグメント予想は、情報通信が売上5,000億円・営業利益1,300億円(前期774億円から+68%)=セグメント利益の約31%へ昇格。一方、環境エネルギーは住友電設の連結除外(前期利益906億円のうち256億円が住友電設分)で440億円へ縮み、自動車は1,840億円とほぼ横ばい。全社営業利益「+1.6%の横ばい」の中身は、利益構成の入れ替えだ。中計2028は売上6兆円・営業利益6,000億円・税引前ROIC15%——うち情報通信の目標は2,400億円で、6,000億円への増益の中心も情報通信に置かれている。
この鎖の面白さは最後の輪だけ市場の気分次第なこと。業績が計画どおりでも「広さの割引」が残ればPERは低いまま——逆に情報通信の利益比率が高まれば、割引が剥がれて業績以上に株価が動く余地がある。確認の場は四半期決算(15:00開示)です。
その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く
短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります。
PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算・2026年7月1日効力発生(6/29権利落ち)の1:4分割は調整済み)。
計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。開示は一貫して15:00(引け後)のため、翌営業日から分母に反映。
読み方 ── この2年のPERは13.3倍→高値時36倍→いま19.5倍。この会社もEPS予想の上方修正を続けてきた(分割調整後44.88円→108.99円と2年で2.4倍)ため、株価が2.3倍になってもPERの上昇は緩やかでした。いまの19.5倍は御三家で最も低い水準——「AIの会社」としては安く、「自動車部品の会社」としては高め、という評価差(本稿でいう広さの割引。ただし要因は分散だけでなく、利益純度・景気循環性・利益率の違いも含む)が数字になっています。ただし7/24時点の「24.1倍 vs フジクラ33倍・古河29倍」に比べると差は大きく縮みました——3社とも1Q決算で予想EPSを引き上げたため、御三家全体の分母が入れ替わった結果です。割引が縮んだのは、この会社の評価が上がったからではなく、比較相手の分母が大きくなったから——「広さの割引」の縮小を、評価の切り上げと読み違えないことが、いまの物差しの注意点です。この物差しが動くとすれば、きっかけは情報通信部門の利益比率の変化——今期計画どおりなら約31%まで上がります。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの2,129.5円(予想PER 19.5倍)は、「自動車が安定し、AI・電力の伸びが計画どおり続く」という前提を、御三家で最も控えめな物差しで織り込んだ値段です。期待の乗り方が小さい分、下げの深さは3社でいちばん浅く済みました(高値→最安値で▼47%、フジクラ▼54%・古河▼58%)。ただしその同じ性格が、8月の戻り局面では上値の重さとして出ています。
崩れる合図──2Q(10月末〜11月初)で情報通信の営業利益が四半期272億円の水準から落ち、自動車を再び下回る/自動車部門の減益(1Qは▲5億61百万円)が原材料・銅価・関税でさらに深まる/中計初年度から計画未達の気配/御三家3社のなかで住友電工だけが戻りに乗らない状態が続く(テーマの物色対象から外れる)。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
売買の指示はしません。過去1年の値動きが「どの価格帯で折り返してきたか」を、機械的なルールで塗った地図です。決めるのは、この地図を見たあなたです。
この地図には2種類の帯があります。面の帯(塗り)=10日以上離れて3回以上、値動きが折り返した価格帯。青の斜線=下げ止まりの記録がある支持帯、橙の点=上値を抑えられた記録がある抵抗帯。枠の帯(囲み)=大きな値動きが始まった起点の値幅(青枠=上向き、橙枠=下向きの起点)。帯の位置は機械的なルールで引き、名前(支持帯・抵抗帯・上場来高値の帯など)は分かりやすさのための呼び名です——手で選んでいません。チャート上の①〜⑤は、下の説明と対応しています。各帯のPERは会社予想EPS 108.99円(2027年3月期・2026-07-31開示)で換算した参考値で、予想EPSが変わればPERの位置も動きます。現在値 2,161円は③支持帯(2,050〜2,196円)の中にあります。
接触3回:反落2・上抜け1・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=03/11、03/26、04/23
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触4回:下げ止まり4・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=04/15、05/01、05/20、06/11
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触4回:下げ止まり4・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=02/18、03/09、03/31、07/17
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触3回:反落2・上抜け0・未決着1|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=11/04、12/10、01/07
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触3回:下げ止まり3・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=11/21、12/18、01/09
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
2026-05-01から5営業日で+29.0%の上げが始まった日の値幅|その後の再訪4回:下げ止まり2・割れ2・未決着0|②の帯と大きく重なる(狭い方の帯幅の79%)=2つの別ルールが近い場所を指した帯。ほかに①とも一部交差
5営業日で+16.1%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で+10.5%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-12.0%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-11.7%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-4.5%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
参考:PERの物差し(会社予想EPS 108.99円=2027年3月期予想・2026-07-31開示)
13倍=1,417円/14倍=1,526円/19倍=2,071円/20倍=2,180円/25倍=2,725円/26倍=2,834円。現値2,161円≒PER19.8倍。
※PERは会社予想が変わればラインごと動きます。帯とPER水準が重なるのは結果であって、どちらかが根拠というわけではありません。
⚠ 過去に折り返した帯・値動きの起点の帯は約束ではありません。支持帯を終値で2日連続下回った場合は、その帯の下げ止まり記録が崩れたものとして、次の開示と市場全体の地合いを確認します。帯のルール=面の帯:10日以上離れた接触3回以上・幅は接触価格±0.25ATR/枠の帯:直前5日の終値最安(最高)の日から5営業日以内に3.0ATR以上動いた日の値幅(値動きの大きい順に各方向3本まで・今回ほかに6本の起点を省略)。この帯は毎週、同じルールで機械的に引き直します。
下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円・分割調整後)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。
信用残の1年
信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移
左目盛:万株(線・1:4分割前は4倍換算で連続表示)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。
まとめ ── 7/17の2,151.5円でいったん下げ止まり、2,400〜2,500円台の攻防。御三家の中で最も浅い調整だが、信用買い残の積み上がりは戻りの重さとして効きやすい。7/31の1Q決算(御三家の先頭打者)が次の方向を決める公算。全体の結論は最終章「総合判断」へ。
ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:過去最高益・前期は利益の43%が自動車、今期は情報通信が営業益1,300億円(+68%)=約31%へ昇格する計画。来期の「純益減益予想」は特益剥落が主因で実質増益計画/需給:分割で商い増・信用買い残は下落局面で増加/テクニカル:▼42%調整から2,400円台で方向待ち。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
決算数値は適時開示の実数。「ワイヤハーネス世界大手」等の事業上の位置づけは公知の事実に基づく記述です。