銘柄レポート🔖 毎週土曜更新
サーボの安川は+50%増益、ロボットの安川は▲82%減益——ひとつの会社の中で、二つの事業が逆方向に動いている。
安川電機がつくるのはACサーボモータ(世界首位級)と産業用ロボット——工場の機械を精密に動かす「筋肉と神経」で、世界中の設備投資に業績が連動する。2月期決算という珍しい決算期のため、他社より約1ヶ月早く世界の設備投資の体温が見える先行観測点でもある。株価は3月末の安値4,020円から6/22に7,655円(終値・取引時間中は7,915円)——このページのデータベースで確認できる20年で最高の終値——まで+90%駆け上がり、7/10の1Q決算(増収減益)を境に4,935円へ▼35%調整した(8/3終値)。決算の中身は真っ二つだった:サーボ事業は営業+50%増益、ロボット事業は▲82%減益。この落差の意味と、次の2Q決算(例年10月上旬・前年は10/3)で何が試されるかを、この1ページで整理する。
📌 今週の要点:今週(8/3〜8/7)は安川電機からの適時開示がなく、業績についての新しい数字は出ていない。そのなかで株価は週間+8.2%(4,867円→5,266円・同じ期間のTOPIXは+1.8%)と戻し、信用買い残は7/17の約647万株をピークに2週続けて減った(7/31時点・約594万株)。
① 新しく分かったこと
・今週の適時開示はなし。会社が出した最新の業績数字は7/10の1Q短信のままで、そこは動いていない。
・株価は8/3の終値4,935円から8/7の終値5,266円へ。週間高値5,405円(8/5)・週間安値4,726円(8/3・取引時間中)。前週金曜(7/31)の終値4,867円との比較で+8.2%、同じ期間のTOPIXは+1.8%。6/22の高値7,655円(終値)を31%下回る水準。
・信用買い残は7/31時点で約594万株。7/17の約647万株をピークに、7/24の約630万株、7/31の約594万株と2週続けて減っている(7/17比▲8.2%)。売り残は約24万株で、信用倍率は24.6倍(7/24時点は29.0倍)。ただし残高が減ったこと自体は分かっても、その内訳(反対売買か現引きか、誰が動いたか)は信用統計からは分からない。
・当ページでこれまで触れていなかった事実を2つ記録しておく。ひとつは7/16、富士通が「ファナック・安川電機・川崎重工業とフィジカルAI分野の事業検討を開始する」と公表していたこと(富士通のニュースリリース)。安川電機はNVIDIAのGPUを搭載した自律型ロボット「MOTOMAN NEXT」を提供する立場で、リリースに金額や資本関係の記載はない。もうひとつは8/4、ソフトバンクが自社サイトで安川電機との共同の取り組み(SoftBank World 2026でのロボット学習の実演)を公開したこと。どちらも会社の適時開示ではなく、業績への金額の影響は公表資料からは確認できない。今週の株価の動きと結びつけた解釈もしない。
② 見立ては変わったか → 🟢変更なし。今週は会社発の新しい数字がゼロだった。軸——「モーション(サーボ)の成長は数字で確認済み。ロボットの落ち込みが『移行影響の一過性』かどうかは未確認。いまの値段はその中間で、答えは2Qから出始める」——を動かす材料は出ていない。株価が戻したことは、この軸の確認にはならない。
③ 🔒 前に見ていた材料、その後(観察条件は8/3に書いたまま・書き換えていません)
(a) モーションコントロールの売上前年比が2桁増を保てるか → 今週は適時開示がなく、突き合わせる数字は出ていない。次に数字が出るのは2Q決算(例年10月上旬・前年は10/3)。
(b) ロボットの営業利益が前年並みの水準へ戻る軌道が見えるか → 同じく、今週は会社からの新しい数字がない。
(c) 通期営業600億円の扱い → 7/10の据え置きのままで、修正の開示は出ていない。
(d) 判定の窓(発表翌営業日から3営業日をTOPIX相対で見る) → 2Q決算の発表後に使う手順。今週は該当する場面がない。
(e) 買い残630万株の消化のされ方(8/3に「毎週見る」と書いたもの) → 7/31時点で約594万株。7/24の約630万株から▲36万株(▲5.8%)、ピークの7/17(約647万株)比では▲8.2%。信用倍率は29.0倍→24.6倍。
今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)
(f) 信用買い残:8/7時点の数字(8/12ごろ公表)が約594万株からさらに減るか、増え直すか。
(g) 株価の居場所:今週の高値5,405円(8/5)と、7/29に付けた安値4,465円(取引時間中)の間の、どのあたりで来週を終えるか。TOPIXの同じ期間の騰落率と並べて見る。
(h) フィジカルAI関連:7/16の4社の事業検討や8/4のソフトバンクの公開のような話が、会社自身の適時開示(受注・金額をともなうもの)として出てくるか。出てこなければ、業績への影響は外部からは確認できないままになる。
④ 📅 次に見るもの——8/12ごろ:信用残(8/7時点)の公表 / 2Q決算(例年10月上旬・前年は10/3・確定日は上の予定欄に自動反映)→発表翌営業日からの値付け。
確認済み(機械監視): 業績開示=今週なし / 需給=信用倍率24.6倍(7/31時点) / 株価=6/22高値7,655円を31%下回る水準 / 会社予想PER=29.1倍(8/7終値)
📌 今週の要点:このページの初回公開。7/10の1Q決算(増収減益・事業間の落差)を消化する調整局面が続いており、次の節目は2Q決算(例年10月上旬・前年は10/3)。時間があるいまのうちに、「ここを見る」を下に固定しておく(あとから書き換えません)。
① 新しく分かったこと
初回のため過去分から——7/10の1Qで「サーボ+50%増益/ロボット▲82%減益」の落差が開示され、翌営業日から株価は調整。7月後半は市場全体の急落(7/28・TOPIX▼2.5%)の波も重なり、高値7,655円から▼35%の4,935円まで下げた。この間、信用買い残が2週間で2.2倍(283万→630万株)に膨らんでいる。
② いまの見立ての軸(初回のため固定)——「モーション(サーボ)の成長は数字で確認済み。ロボットの落ち込みが『移行影響の一過性』かどうかは未確認。いまの値段はその中間で、答えは2Qから出始める」。
③ 🔒 2Q決算でここを見る(発表前に固定・あとから書き換えません)
(a) モーションコントロールの売上前年比:1Qの+21.5%から2桁増を保てるか(半導体・データセンタ需要の持続の確認)
(b) ロボットの営業利益:1Qの8.9億円から前年並みの水準(前年1Qは約50億円)へ戻る軌道が見えるか——「基幹システム移行の影響は一過性」という会社の説明の検証。戻らなければ、移行以外の要因(欧州・競争環境)を疑う
(c) 通期営業600億円の扱い:据え置きの根拠だった「定着状況の見極め」が解けて再確認されるか、修正されるか。上期累計の進捗率もあわせて見る(1Q時点14.1%)
(d) 判定の窓:発表が引け後なら、値付けの本番は発表の翌営業日。そこから3営業日の終値までをTOPIXとの相対で観測する(市場全体の波と区別するため)。決算直後の1日の反応だけでは判定しない。
④ 📅 次に見るもの——2Q決算(例年10月上旬・確定日は上の予定欄に自動反映)→翌営業日からの値付け・毎週の信用残の公表(買い残630万株の消化のされ方)。
確認済み(機械監視): 業績開示=今週なし / 需給=信用倍率約29倍(7/24) / 株価=6/22高値7,655円の▼35%下 / 会社予想PER=27.2倍(8/3終値)
未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。
丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。
出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™
ファンダメンタルズ 1Qは増収減益だが、減益の主因はロボット事業の一過性要因(基幹システム移行・欧州構造改革費用)と会社は説明。モーションコントロールは+21.5%増収・+50.1%増益で、半導体・データセンタ関連が牽引。通期の営業600億円(+27%)は下期回復を前提にした据え置きで、1Q進捗14.1%とのギャップの答えは2Qから出る。
需給 信用買い残630万株・売り残21.8万株=信用倍率 約29倍(7/24公表)。買い残は1Q発表前から2週間で2.2倍に増え、1日の平均出来高(7月・約858万株)の7割強。下げ局面で買い方が積み上がった状態(残高と出来高は性質が違うため、比は目安にすぎない)。
テクニカル 4,935円は6/22高値7,655円の▼35%下・3/31安値4,020円の+23%上=急騰の大半を返した位置。確認は①4,020円方向への下値を切り上げられるか ②25日線への復帰 ③2Q決算——の3点。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
一つの悪材料で下げたのではありません。春からの+90%の急騰が「サーボの成長」と「ロボットの期待」を両方織り込み、7/10の1Qでロボット側の前提が数字で揺らいだ——という半年です。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
1Qの「増収減益」という見出しだけでは、この会社で起きていることは分かりません。サーボは半導体・データセンタを追い風に大幅増益、ロボットは一過性費用で利益がほぼ消失——全社合計はこの二つを混ぜた数字にすぎない。決算のたびにモーションの売上前年比→ロボットの営業利益→通期計画の扱いの順で、事業別に分けて見るのがこの銘柄の型です。
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。安川電機はACサーボモータ世界首位級・産業用ロボット大手。1915年創業の北九州の会社で、東証プライム上場・2月期決算・IFRS。数字の出どころは決算短信・適時開示の実数です。
モーションの高成長の持続(半導体・データセンタ需要)→ロボットの一過性費用の剥落→下期の利益回復→通期営業600億円(+27%)。この鎖の要は二つ目——移行影響が本当に一過性なら計画は生き、長引けば600億円が動きます。2Q決算ではモーションの前年比(鎖の入口)とロボットの利益水準(要の検証)の両方を確認します。
PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が小さいほど割安に見えます——この銘柄は、どのEPSを分母に選ぶかで見え方が変わります。
計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想EPS。予想EPSは142.66円(3Q時点の前期予想)→181.21円(4/10の今期予想)。いずれも引け後開示のため翌営業日から分母に反映。
読み方 ── 予想PER27.2倍は、+33%の増益計画を分母にしてなお日本株全体でよく目安にされる水準(十数倍)より高めです。差の分は「サーボが半導体・データセンタの成長を取り込み続ける」「ロボットの落ち込みは一過性」という計画の先の期待と読めます。注意したいのは分母の質——予想EPS 181.21円は1Q時点で進捗が低く、下期回復を前提にした数字だということ。もし通期計画が下がれば、同じ株価でもPERは切り上がります。6月の高値7,655円のときの予想PERは42倍でした——同じ分母で、市場の払う倍率がこの2ヶ月で約35%下がった、という言い方もできます。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの4,935円が成立するために必要な前提を挙げると、「モーションの高成長が続く」「ロボットの利益が下期に戻る」「通期600億円が維持される」「為替が想定(145円/170円)から大きく円高に振れない」——このどれもが崩れていないこと、と整理できます(株価から前提を一意に逆算できるわけではありません)。
崩れる合図──2Qでロボット営業利益が1Q並みの低水準にとどまる/モーションの増収率が1桁に減速/通期計画の下方修正/急な円高。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
売買の指示はしません。過去1年の値動きが「どの価格帯で折り返してきたか」を、機械的なルールで塗った地図です。決めるのは、この地図を見たあなたです。
この地図には2種類の帯があります。面の帯(塗り)=10日以上離れて3回以上、値動きが折り返した価格帯。青の斜線=下げ止まりの記録がある支持帯、橙の点=上値を抑えられた記録がある抵抗帯。枠の帯(囲み)=大きな値動きが始まった起点の値幅(青枠=上向き、橙枠=下向きの起点)。帯の位置は機械的なルールで引き、名前(支持帯・抵抗帯・上場来高値の帯など)は分かりやすさのための呼び名です——手で選んでいません。チャート上の①〜⑤は、下の説明と対応しています。各帯のPERは会社予想EPS 181.21円(2027年2月期・2026-07-10開示)で換算した参考値で、予想EPSが変わればPERの位置も動きます。
接触3回:反落3・上抜け0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=05/25、06/22、07/06
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
2026-05-20から5営業日で+23.1%の上げが始まった日の値幅(3.6ATR)|その後の再訪2回:下げ止まり0・割れ2・未決着0
2026-04-24から5営業日で+16.0%の上げが始まった日の値幅(3.7ATR)|その後の再訪2回:下げ止まり0・割れ1・未決着1
接触3回:下げ止まり2・割れ1・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=01/13、02/02、07/17
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
2025-10-01から5営業日で+23.6%の上げが始まった日の値幅(7.2ATR)|形成後、価格はまだ一度もこの帯に戻っていません(再訪なし)
5営業日で-22.1%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-8.2%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-11.5%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
参考:PERの物差し(会社予想EPS 181.21円=2027年2月期予想・2026-07-10開示)
17倍=3,081円/18倍=3,262円/30倍=5,436円/31倍=5,618円/43倍=7,792円/44倍=7,973円。現値5,365円≒PER29.6倍。
※PERは会社予想が変わればラインごと動きます。帯とPER水準が重なるのは結果であって、どちらかが根拠というわけではありません。
⚠ 過去に折り返した帯・値動きの起点の帯は約束ではありません。支持帯を終値で2日連続下回った場合は、その帯の下げ止まり記録が崩れたものとして、次の開示と市場全体の地合いを確認します。帯のルール=面の帯:10日以上離れた接触3回以上・幅は接触価格±0.25ATR/枠の帯:直前5日の終値最安(最高)の日から5営業日以内に3.0ATR以上動いた日の値幅(値動きの大きい順に各方向3本まで・今回ほかに6本の起点を省略)。この帯は毎週、同じルールで機械的に引き直します。
売買の指示ではありません。よく見られる目安と、いまの位置の記述です。
位置の整理 ── 春の上げ幅(+90%)の4分の3以上を返した位置にいます。特徴的なのは需給で、1Q発表をまたいで信用買い残が283万→630万株へ急増——下げの過程で買い残が積み上がった形です。買い残は将来の売り圧力にもなる数字(返済売りが出る)なので、戻り局面では上値の重さとして働く可能性があります(残高は週次で変わる数字であり、恒常的な特徴ではありません)。確認点は①3/31安値4,020円方向への下値を切り上げられるか ②25日線への復帰 ③2Q決算前後の買い残の消化——の3点です。
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は凡例のとおり。毎日夜に自動更新。
左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。
結論を先に——いまの4,935円は「サーボの成長」を評価しつつ、「ロボットの一過性説」への信頼が一部剥がれた値段と読めるものです。前者は1Qで数字により確認済み、後者の検証は2Q決算(例年10月上旬・前年は10/3)から。読み方の条件は「今週なにが変わったか」欄に発表前に固定して置いてあります。2月期決算ゆえ、答えは他社より早く出ます。
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
決算数値は適時開示の実数(IFRS)。アルミナの解釈・整理は会社開示と区別しています。