銘柄レポート🔖 毎週土曜更新

三菱重工業(7011)株価分析 機械

年間受注高7兆6,536億円・受注残13兆2,376億円(年間売上の約2.7年分)——防衛・エナジーを両輪に、コロナ期の安値から約24倍の高値5,208円まで買われた「防衛の本丸」。いまは高値から▼22%の4,044円(8/7終値)、それでも予想PERは約36倍と、同業IHI(19倍前後)のほぼ2倍の評価が残る。
この高い物差しを、受注・採算・防衛予算の可視性はどこまで支えるのか——好決算でも売られた5月を含めて、この1ページで整理する。

三菱重工業の今と見どころ📊 株価データ:2026-08-14終値(毎日夜更新)
✍ 見立て・本文:2026-08-08執筆(週1+イベント時更新)
次回の本文更新:8/15(土)ごろ
30秒だけの人へ
  • 防衛(戦闘機・ミサイル・艦艇)・エナジー(ガスタービン・原子力)・宇宙を担う日本最大の総合重工。前期は受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円)・受注残13兆2,376億円(+3兆13億円)・売上4兆9,741億円・事業利益4,322億円と拡大が続き、今期は事業利益5,400億円(+25%)・EPS+14%(113.09円)を会社が予想。株価はコロナ期の安値218円(調整後)から3月の高値5,208円まで約24倍になった。8/4に開示された1Q(4〜6月)は売上1兆1,942億円(+15.5%)・事業利益1,596億円(+65.1%・率13.4%)・受注残14兆1,030億円
  • いまの予想PERは約36倍——同業IHI(19倍前後)のほぼ2倍という高い物差し。5/12の本決算は受注・利益とも大幅増だったのに当日▼1.9%→2日後▼5.5%と売られた=「良い決算」より「期待の高さ」が勝った実例。高値から6/11の3,404円まで▼35%の調整を経たあと、7月は3,626〜4,110円で上下。8/4の1Q決算当日は+7.7%(出来高5,586万株)と買われ、8/7終値は4,044円(高値から▼22%)。
  • 8/4の1Q決算では通期の受注見通しが6.8兆円→7.0兆円に引き上げられ、1Qの事業利益率は13.4%(通期計画10.0%)。売上・事業利益・配当の通期見通しは据え置きで、受注残の売上化が高い物差しを支えられるかの確認は続く。次の焦点は8月末の防衛省概算要求2Q決算(例年11月上旬)。株価の物差しは25日線(3,867円・8/7時点)・押し安値3,626円(7/17)・戻り高値4,110円(7/6)。8/4以降の終値は25日線を上回っている。
いまの状態
業績前期=受注高7兆6,536億・受注残13兆2,376億・売上4兆9,741億・事業利益4,322億(率8.7%)。今期計画=受注7.0兆(▼8.5%・8/4に6.8兆から引き上げ)・売上5.4兆(+8.6%)・事業利益5,400億(+25%・率10%)=受注残を売上化して利益率を上げる年度設計。1Q実績(4〜6月)は受注2兆224億・売上1兆1,942億・事業利益1,596億(率13.4%)・受注残14兆1,030億 株価の流れ3/2高値5,208円→6/11安値3,404円(▼35%)→7月は3,626〜4,110円のレンジで上下→8/4の1Q決算当日に+7.7%(出来高5,586万株)。直近週(8/3〜8/7)は週間+7.4%で4,044円。同じ週のTOPIXは+1.8%、川崎重工+0.6%、IHI▼2.9% 需給信用買い残2,287万株(終値換算約861億円・7/31時点。前週から▼7万株)は規模として小さくないが、出来高(今週は平均約2,820万株/日)の約0.8日分=単独で相場を決める需給ではない。信用倍率は18.4倍(前週25.6倍) 割安度予想PER 35.8倍(3月の高値では67倍)。IHIの約2倍=「防衛の本丸プレミアム」の妥当性が最大の論点
読みたいところへ
📝 今週なにが変わったか 8/8更新

📌 今週の要点:8/4(火)13:30に1Q決算が開示された。事業利益1,596億円(前年同期比+65%)・受注高2兆224億円(同+26%)で、通期見通しのうち受注高だけが6.8兆円から7.0兆円へ引き上げ(売上・事業利益・配当は据え置き)。株価は開示当日に+7.7%(出来高5,586万株)、週間は+7.4%の4,044円。同じ週のTOPIXは+1.8%、川崎重工は+0.6%、IHIは▼2.9%。

① 新しく分かったこと

➡️ 1Q(4〜6月)の事業利益は前年同期の1.65倍——利益率13.4%は通期計画の10.0%を上回る
売上収益1兆1,942億円(前年同期比+15.5%)、事業利益1,596億円(同+65.1%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益1,346億円(同+97.4%)。事業利益率13.4%は前年同期の9.4%(ロジスネクスト分を除いた組替後)から4.0ポイント上がった。通期計画に対する1Qの積み上がりは、事業利益が29.6%(5,400億円のうち1,596億円)、売上収益が22.1%(5兆4,000億円のうち1兆1,942億円)。受注残高は14兆1,030億円で、前年度末の13兆2,376億円から8,653億円増えた(出典:8/4 1Q決算短信・決算説明資料)。
→ 見方:「受注残を売上に変えながら利益率を上げる」という今期の設計のうち、利益率のほうが最初の四半期で先に数字になった形。一方で売上の進み方22.1%は、通期を単純に4等分した25%には届いていない。会社は売上・事業利益の通期見通しを据え置いている。なお四半期利益の+97.4%には円安による為替差益が乗っている(会社説明)ため、本業の伸びは事業利益の+65.1%のほうで見るのが素直。

➡️ 通期見通しは「受注高だけ」引き上げ——エナジーと航空・防衛・宇宙で各1,000億円
通期の受注高見通しは6兆8,000億円→7兆円(前年度比▼8.5%)。内訳はエナジーが3兆4,500億円→3兆5,500億円、航空・防衛・宇宙が1兆6,500億円→1兆7,500億円。一方で売上収益5兆4,000億円・事業利益5,400億円・当期利益3,800億円・年間配当29円(中間14円/期末15円)は5/12公表から変更がない。1Qのエナジー受注は1兆3,593億円(前年同期8,713億円)で、うちGTCC(ガスタービン複合発電)が9,300億円(同6,025億円)と伸びた。
→ 見方:受注は将来の売上の予約、売上・利益は今期の実現分。会社は前者だけを引き上げ、後者は動かさなかった。この差をどう読むかが、いまの評価水準を考えるうえでの論点になる。

➡️ 航空・防衛・宇宙の1Q受注は1,209億円——前年同期から2,298億円の減少
前年同期(3,508億円)に大型受注があったことの反動と会社は説明している。引き上げ後の通期見通し1兆7,500億円に対する1Q末の進捗率は7%。ただし同セグメントの売上収益は2,860億円(+255億円)、事業利益は324億円(+13%)と、いずれも前年同期を上回った。
→ 見方:防衛の受注は大型案件の有無で四半期ごとに大きく振れる。1四半期の数字だけでは方向を読み取れないため、通期の進捗として追う項目。

➡️ 原子力で会社発表が1件、宇宙で日程の動きが1件
8/5、経済産業省の「次世代革新炉の開発・建設に向けた技術開発・サプライチェーン構築支援事業」に自社提案3件が採択されたと会社が発表。うち1件は国産技術による小型軽水炉(SMR)の炉型・要素技術開発で、「地震・津波など日本特有の自然条件へ適合する」開発を加速するとしている。金額および業績への影響についての記載はない(出典:三菱重工プレスリリース)。
8/4、H3ロケット9号機(準天頂衛星「みちびき」7号機を搭載)の打ち上げが台風接近にともない延期され、その後8/10に再設定された(出典:JAXA・報道)。
→ 見方:どちらも4〜6月の1Q実績には入っていない。SMRの採択は開発段階の話で、今期の損益に結びつく内容は示されていない。

② 見立ては変わったか → 🚩 要検討。本文は「通期受注計画6.8兆円(前年度比▼11%)への進捗」を前提に置いているが、8/4に会社がこの計画を7.0兆円(同▼8.5%)へ引き上げた。あわせて1Qの事業利益率13.4%が通期計画の10.0%を上回っている。本文が土台にしていた数字がこの2点で動いたため、「受注・採算がPERを支えるか」という問いの立て方も含めて次回の本文更新で検討する。ただし売上・事業利益・当期利益・配当の通期見通しは据え置きで、問いそのものが消えたわけではない。ここでは要検討と記すだけで、本文の見立ては書き換えていない。

③ 🔒 前に見ていた材料、その後(8/1に書いたまま・書き換えていません)

(a) 8/5ごろの1Q決算=通期受注計画6.8兆円への進捗と受注残13.2兆円の売上化・採算 → 決算は8/4(火)13:30に開示された。1Qの受注高は2兆224億円、通期の受注見通しは同日に6.8兆円から7.0兆円へ引き上げられた。受注残高は14兆1,030億円(前年度末13兆2,376億円から+8,653億円)。売上収益1兆1,942億円・事業利益1,596億円・利益率13.4%。
(b) 押し安値3,626円(7/17)を終値で維持できるか → 8/3の場中に3,621円まで下げ、3,626円を5円下回る場面があった。同日の終値は3,799円で、週を通じて終値が3,626円を下回った日はない。
(c) 4,110円(7/6の戻り高値)を出来高を伴って回復できるか → 8/4の高値4,155円(出来高5,586万株=今週最大)は4,110円を上回った。ただし同日の終値は4,091円で、これが週内でいちばん高い終値。終値では4,110円に届いていない。
(d) 1Q決算での通期(受注6.8兆円・事業利益5,400億円)に対する進み具合と利益率 → 事業利益1,596億円は通期計画5,400億円の29.6%、利益率13.4%は通期計画の10.0%を上回る。売上収益1兆1,942億円は通期5兆4,000億円の22.1%。受注高2兆224億円は、引き上げ後の通期7.0兆円に対して28.9%。
(e) 3,806円(7/31時点の25日線)を終値で上回る場面が出るか → 8/4以降の4営業日の終値(4,091円・4,000円・3,998円・4,044円)はいずれも3,806円を上回った。8/7時点の25日線は3,867円。
(f) 7/31時点の信用残で買い残2,294万株が減るか増えるか → 買い残2,287万株(▼6.9万株)でほぼ横ばい。売り残は89.7万株から124万株に増え、信用倍率は25.6倍から18.4倍になった。この集計は8/4の決算より前の時点。

今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)

(g) 2Q以降も、事業利益率が通期計画10.0%を上回る形で進むか(1Qは13.4%・通期5,400億円に対し29.6%)。次の四半期決算は例年11月上旬(過去4年は11/1〜11/7・いずれも13:30の開示)
(h) 引き上げ後の通期受注7.0兆円に対し、航空・防衛・宇宙の受注(1Q実績1,209億円=通期1兆7,500億円の7%)が2Q以降どう積み上がるか。8月末の防衛省概算要求が最初の手がかり
(i) 4,110円(7/6の戻り高値・この値を固定して見る)を終値で上回る場面が出るか。8/7時点の25日線は3,867円

④ 📅 次に見るもの——8/10 H3ロケット9号機の打ち上げ予定(8/4に台風接近で延期・天候次第で再延期の可能性)・8月中旬公表の信用残(8/7時点=決算後の初回集計)・防衛省の来年度概算要求(8月末)・2Q決算(例年11月上旬)。

前回(8/1)の記録
📝 8/1時点の記録

📌 今週の要点:7/24の3,945円から7/31は3,764円で、週間▼4.6%。同じ週にTOPIXは▼0.2%、川崎重工は▼0.8%、IHIは▼1.8%で、防衛・重工の中では下げ幅がいちばん大きかった。7/28以降の終値は25日線(3,806円)を下回った状態が続いている。1Q決算はまだ出ていない(7/27〜7/31の適時開示はゼロ)。

① 新しく分かったこと

➡️ 決算を待つ週に、防衛・重工の中で下げ幅がいちばん大きかった
週間▼4.6%に対し、TOPIX▼0.2%・川崎重工▼0.8%・IHI▼1.8%。7/31は始値3,855円(前日比+3.2%)と高く始まり、終値は3,764円(前日比+0.75%)で寄り付きからは上げ幅を縮めた。この日の出来高2,242万株は週内で最大だった。
→ 見方:市場全体や同業と比べて、この銘柄に固有の売りが出た週。ただし理由を示す開示は出ておらず、何を織り込んだ動きなのかはこの時点では確かめられない。信用買い残は7/24時点で2,294万株(前週から▼208万株)だが、これは今週の値動きより前の集計。

➡️ 宇宙(H3ロケット)で2件の動き。いずれも会社の適時開示ではない
7/30、文部科学省の対策本部が、H3ロケット8号機(令和7年12月22日に打上げ失敗)の原因究明報告書について報告を受け了承した。報告書自体は7/23の宇宙開発利用部会(第107回)で決定済み(出典:文部科学省)。これは原因究明と対策の手続きが一区切りついたという話で、打ち上げ再開そのものの決定ではない。
7/29、ispaceが三菱重工とH3ロケットの打上げ輸送サービス契約を締結したと発表(新型月着陸船「ULTRA」・2028年打ち上げ予定)。
→ 見方:どちらも金額や損益への影響は示されていない。7月の出来事なので4〜6月の1Q実績には入らず、受注や事業の進み方として今後どう見えてくるかを追う材料。

➡️ 次期戦闘機(日英伊GCAP)の生産体制について報道(7/26)
機体の組み立てを愛知で担う方向、という47NEWSの独自報道。会社の開示ではないため、1Qの説明資料など今後の開示で裏を取る材料。

② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし。「PER33〜35倍という高い物差しを、受注・採算・防衛予算の可視性がどこまで支えるか」という本文の問いは動いていない。今週は業績の前提に関わる開示が1件も出ておらず、判断材料が増えていないため。

③ 🔒 前に見ていた材料、その後(7/25に書いたまま・書き換えていません)

(a) 8/5ごろの1Q決算=通期受注計画6.8兆円への進捗と受注残13.2兆円の売上化・採算 → 7/27〜7/31に7011からの適時開示はゼロ。まだ出ていない。過去2年の1Q短信は2025年8/5・2024年8/6のいずれも13:30開示だった(2026年の確定日程は会社の告知を確認)。
(b) 押し安値3,626円(7/17)を終値で維持できるか → 今週の安値は7/29の3,701円、終値でいちばん低いのは7/30の3,736円。3,626円は下回っていない。
(c) 4,110円(7/6の戻り高値)を出来高を伴って回復できるか → 今週の高値は7/27の3,981円。4,110円には届いていない。

今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)

(d) 1Q決算(過去2年は13:30の場中開示=当日午後に反応が出る形)で、通期の受注6.8兆円・事業利益5,400億円に対する1Qの進み具合と利益率
(e) 3,806円(7/31時点の25日線・この値を固定して見る)を終値で上回る場面が出るか
(f) 8月上旬に公表される7/31時点の信用残で、買い残2,294万株がさらに減るか増えるか

④ 📅 次に見るもの——8/5ごろ 1Q決算(過去2年は13:30の場中開示)・8月上旬公表の信用残(7/31時点)・防衛省の来年度概算要求(8月末)。

📅 これからの予定 — 三菱重工業(7011)に関連するもの

未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。

7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見
東京が反応する日: 7/30(木)
7/30-31★日銀 金融政策決定会合(結果は7/31)市場全体
7/30-31開催・結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
8/5(水)ごろ三菱重工業(7011) 1Q決算発表(予測日)自社・予測
過去2年は8/5・8/6の13:30(場中)開示=反応は当日午後から。会社が正式発表したら確定日に置き換えます
8月上旬IHI(7013)・川崎重工(7012)の1Q決算(予測)同業・予測
重工3社の決算が同じ週に集中。互いの防衛・エナジーの受注コメントが読み合わせ材料になる
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
8月末ごろ防衛省 概算要求(2027年度予算)防衛シグナル
防衛予算の要求額と重点項目。この銘柄の物差し(PER35倍)を支える前提の定点
速報直近の動き — 三菱重工業(7011)に関連するかもしれないニュース
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株価と出来事(過去75営業日・調整後終値) 2026-04-24 → 08-14

丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。

IR(会社発表) 業界・市場ニュース 思惑・材料ニュース 時系列の補足
出来事のくわしい一覧(8件・タップで開く)

出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™

終値(調整後)
4,254円
2026-08-14(前日比▼0.0%・TOPIX騰落率との差▼0.6pt)
上場来高値からの下落
▼18.3%
高値5,208円(2026/03/02・取引時間中)から
直近2日の値動き
8/13+4.0%8/14▼0.0%
直近2営業日の前日比
信用倍率
22.2倍
買い残2,043万株/売り残92万株(8/7公表・週次)

3つの視点で見る(2026-07-24時点)

ファンダメンタルズ

受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円)・売上4兆9,741億円・事業利益4,322億円と、防衛・エナジーの両輪で拡大が続く。今期はEPS113.09円(+14%)予想。8/4の1Qでは受注の通期見通しだけが7.0兆円へ引き上げられ、売上・事業利益・配当は据え置き。注意点は「業績の伸び」より「評価(PER35倍台)の高さ」が先行していること——5/12の好決算で売られたのは、数字が悪かったからではなく、株価が要求する水準がもっと上にあったから。受注残14兆1,030億円(1Q末・前年度末比+8,653億円)という将来売上の厚みが、この評価の最大の支え。

需給

信用買い残2,502万株(終値換算で約987億円・7/17公表)は規模として小さくないが、1日の出来高(約2,000万株)の1.3日分=この流動性の中では単独で相場を決める需給ではない。実際、7/6+8.4%→7/8▼4.7%はIHIも同方向に動いた日で、値段を動かしたのは防衛テーマへの資金の出入りだった(個別需給では説明がつかない)。

テクニカル

3/2高値5,208円→6/11安値3,404円(▼35%)の調整を経て、3,600〜4,100円の往来。いまの4,044円(8/7終値)は25日線(3,867円・8/7時点)の+4.6%上。確認は ①押し安値3,626円(7/17)を守るか ②戻り高値4,110円(7/6)超え ③11月上旬の2Q決算 で。

※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。

1

なぜ、「防衛の本丸」はIHIの2倍の物差しで買われているのか

株価24倍の道のりはIHIと同じ「防衛予算の拡大」が起点ですが、三菱重工にはさらに3つのプレミアムの源泉が重なっています。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。

土台防衛の中核企業

戦闘機・ミサイル・艦艇——国内防衛の主契約の中心 構造的な地位

  • 次期戦闘機(GCAP)の機体・護衛艦・潜水艦・各種ミサイルと、国内防衛装備の主契約(プライム)の多くを担う。防衛予算がGDP比2%へ拡大する流れの、最大の受け皿
  • コロナ期の2020年には218円(調整後)まで売られていた——当時は火力発電やMRJ(国産ジェット)撤退などの逆風の時代
  • 2022年の安保3文書以降、「防衛=成長事業」への再評価が始まり、株価の土台が変わった
きっかけエナジーの復活

防衛だけではない——ガスタービン・原子力の「第二の柱」 受注+1.2兆円の主役

  • 前期の受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円)の増加を牽引したのは、実はエナジーセグメント(会社が短信で明記)——データセンター電力需要のガスタービン、原子力の再稼働・新設機運
  • 防衛が「国の予算」で伸びる事業なら、エナジーは「世界の電力需要」で伸びる事業。2つの異なるエンジンを持つことが、IHIとの評価差の第一の源泉
  • 事業利益4,322億円(率8.7%)はエナジーと航空・防衛・宇宙の両セグメントが増益(短信明記)
二の矢個人の資金流入

2024年3月の1:10分割——「買える株」になった 流動性の変化

  • 2024年3月末に1:10の株式分割。最低投資金額が下がり、防衛テーマの代表格として個人資金の受け皿になった
  • 2024〜2025年、防衛関連の報道のたびに「まず三菱重工が買われる」構図が定着——テーマの入口銘柄としての地位がプレミアムの第二の源泉
  • 2026年3月2日に高値5,208円。コロナ安値から約24倍、この時点の予想PERは67倍まで拡大していた
増幅期待の反動

好決算でも売られた——5/12の教訓 ▼35%の調整

  • 5/12(13:30・場中)の本決算は受注・売上・利益とも大幅増、来期EPS+14%予想。出来高5,800万株と注目を集めたが当日▼1.9%・2日後▼5.5%
  • 数字が悪かったのではない。PER50倍超の期待には「+14%」では足りなかった——評価が先行した銘柄の宿命がそのまま出た
  • 6/1のテーマ株一斉安(宇宙・AI・防衛の高値銘柄が同時に崩れた日)も直撃し、6/11に年初来安値3,404円(高値比▼35%)
たしかめ固有か地合いか

動かすのは「テーマの温度」——個別材料より資金フロー IHIと比較

  • 7/6の+8.4%はIHIも同日+7%=防衛セクター全体への資金回帰。逆に6/1の▼4.5%はテーマ全体の剥落。個別ニュースより「防衛テーマへの資金の出入り」で動く
  • 7/17(TOPIX▼2.7%)に▼3.7%=指数中核銘柄として全体安にも連動する
  • IHI(▼52%調整・PER19倍)との比較で言えば、三菱重工は下げが浅く、物差しが高い——「本丸プレミアム」が守られている間はこの差が続き、剥がれる時は差が縮む方向に動く
いまの位置
この評価の高さは①防衛+エナジーの二本柱 ②受注残14.1兆円(1Q末)という将来売上の厚み ③テーマの入口銘柄という地位の複合です。ただし5月の実例が示す通り、PER35倍台は「良い決算」だけでは維持できない物差し——8/4の1Qで、会社は受注の通期計画だけを6.8兆円から7.0兆円(前年度比▼8.5%)へ引き上げ、売上・事業利益・配当は据え置きました。受注は進捗28.9%(2兆224億円/7.0兆円)、事業利益は29.6%(1,596億円/5,400億円)。次の点検は8月末の防衛省概算要求と、11月上旬の2Q決算です
順番に注意 — この銘柄は「決算は昼・評価は期待との勝負」

① 開示は13:30、反応は当日の午後から
決算は13:30(場中)が定例です。5/12の▼1.9%は当日の午後に出た反応で、本音の売りは2日後の▼5.5%に出ました。IHI(13:00)と同じく、当日と翌日以降の2段構えで読む銘柄です。

② 「良い決算=上がる」が通用しない評価水準
株価が反応するのは「実績と会社計画の差」ではなく「実績と、株価が既に織り込んでいる期待の差」です。会社計画どおりでも株価の要求水準を上回れば上がり、計画超えでも要求に届かなければ売られる——5/12は後者だった、というのがこの銘柄の読み方です。

③ IHIとセットで見る
同じ防衛テーマで物差しが2倍違う2社です。三菱重工が下がってIHIが下がらない日は「本丸プレミアムの剥落」、両方下がる日は「テーマ全体の資金流出」——2枚並べると、下げの原因が読み分けられます(IHIのページもあります)。

2

会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)

短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。三菱重工業はエナジー(ガスタービン・原子力・蒸気)・プラント/インフラ・物流/冷熱/ドライブ・航空/防衛/宇宙の4セグメント。日本最大の総合重工で、防衛装備の国内主契約の中心。東証プライム上場・3月決算(IFRS)。数字の出どころは決算短信の実数です。

受注高/受注残
7.7兆/13.2兆
受注残は+3兆13億
2026年3月期。受注残13兆2,376億円は年間売上の約2.7年分(機械的な目安)。1Q末(2026/6末)の受注残は14兆1,030億円
売上収益
4兆9,741億
+6,130億
航空・防衛・宇宙とエナジーが増収の柱
事業利益
4,322億
率8.7%・+772億
エナジー・航空防衛宇宙の増益(短信明記)。今期計画は率10.0%/1Q実績は13.4%
EPS(1株利益)
98.86円
→ 予想 113.09円
来期+14%予想・配当29円予想

評価(PER)の変遷と、その意味

  • 2024年前半PER20倍前後 ── 分割前後。防衛テーマは点火していたが、物差しはまだ「重工の延長」だった
  • 2025〜2026年3月最大67倍へ ── 防衛予算×エナジー復活×個人資金の三重奏で、物差しそのものが切り上がった。2025年9月末には業績予想の下方修正(EPS77.43→68.49円)があったが、株価の勢いは止まらなかった——この時期は「数字よりテーマ」で動いていた証拠
  • いま35.8倍 ── 高値から▼22%調整してなお、IHI(19倍前後)の約2倍。「防衛の本丸プレミアム」の妥当性を、市場が四半期ごとに採点している段階

受注残13.2兆円(1Q末は14.1兆円)の意味 ── 年間売上約5兆円に対して約2.7年分(受注残÷売上の機械的な目安で、全てが同じ採算で売上化する保証はない)。今期の会社計画は受注7.0兆円(▼8.5%・8/4に6.8兆円から引き上げ)と前年度比では減る一方、売上5.4兆円(+8.6%)・事業利益5,400億円(+25%・利益率10%)=「受注残を売上化して利益率を上げる年度」として設計されている。だから1Qで見るべきは受注の前年比ではなく、通期7.0兆円への進捗と、受注残から売上・利益への転換の質。1Q末の受注残は14兆1,030億円へ、前年度末から8,653億円増えた——今期は受注残を取り崩す年度の設計だったが、初回の四半期は逆に積み上がっている。財務も厚い——前期FCF 8,934億円(ただし大型受注の前受金の寄与が大きく、会社の今期FCF予想は3,000億円)・現金1兆3,348億円に対し有利子負債5,157億円(各数値は決算短信・説明資料より。下の出典参照)。

8/4に会社が動かしたのは「受注の見通しだけ」だった ── エナジー(GTCC)と航空・防衛・宇宙で各1,000億円ずつ、合わせて2,000億円の引き上げ。一方で売上収益5兆4,000億円・事業利益5,400億円・当期利益3,800億円・年間配当29円は5/12公表から動いていない(短信の「直近に公表されている業績予想からの修正の有無:無」)。受注は将来の売上の予約、売上・利益は今期の実現分——会社は前者だけを上げ、後者は据え置いた。1Q末の受注残が14兆1,030億円へ8,653億円増えたことも、同じ向きの事実になる。これを「来期以降の土台が厚くなった」と読むか、「今期の利益にはまだ効かない」と読むかで、PER35倍台の評価は変わる。このページは答えを出しません——見るのは、7.0兆円への進捗(1Q末28.9%)と、事業利益率が10.0%を上回り続けるか(1Qは13.4%)の2点です。なお1Qの親会社所有者帰属四半期利益の+97.4%には円安による為替差益が乗っており(会社説明)、本業の伸びは事業利益の+65.1%で見ます。前年同期の数値は三菱ロジスネクスト等を非継続事業に組み替えた後の数字で、組替前の数字とは混ぜられません(短信注記)。

知っておきたい3つのこと

  • 1防衛とエナジー、2つのエンジンの性質は別物
    防衛は「国の予算」で伸びる=可視性が高いが利益率は管理される。エナジーは「世界の電力・データセンター需要」で伸びる=市場競争だが上振れ余地がある。決算ではこの2つを分けて見るのがこの会社の読み方。
  • 2過去には大きな谷もあった
    国産ジェット(スペースジェット)撤退・大型客船の損失・火力逆風と、2010年代は挑戦と損失の歴史。いまの高評価は「選択と集中後の姿」への評価であり、大型プロジェクトの損失リスクという体質が消えたわけではない
  • 3注意点
    期待先行の評価——PER35倍は良い決算でも下がり得る(5/12の実例) ②防衛政策の変化——停戦・予算縮小はテーマごと剥落させる ③2025年9月に下方修正の前歴(為替・一過性要因)——夜開示(23:00)だった点も含め、修正リスクは常にある ④エナジーの受注は大型案件の期ズレで振れる。

この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)

防衛予算+世界の電力需要 受注残14.1兆円の売上化(四半期で確認) 事業利益率を8.7%から通期計画10.0%へ(1Qは13.4%) EPS 113.09円(+14%)の達成 PER 35倍台という物差しの正当化

この鎖のいちばん最後(物差しの正当化)が他の銘柄より重いのがこの会社の特徴です。数字がすべて計画通りでも、期待がそれ以上なら株価は下がる——確認の場は四半期決算(13:30開示)と防衛・エネルギー政策

その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く

短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります

成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1防衛予算の拡大

GDP比2%路線と装備調達の主契約の地位が続く

  • GCAP・ミサイル量産・艦艇と、国内主契約の中心であり続けることが物差しの土台。8月末の概算要求が毎年の定点
  • 崩れるサイン:防衛予算の削減・執行遅れ/大規模な停戦・緊張緩和(業績より先に評価に来る)/主要装備の調達計画変更
前提 2エナジーの需要

ガスタービン・原子力の受注の勢いが続く

  • 前期の受注増+1.2兆円の主役(大型ガスタービン35台受注・GT受注残は5兆円超)。今期の受注計画7.0兆円は前年比▼8.5%(8/4に6.8兆円から引き上げ・GTCCの好調を反映)=単純な前年比減は計画の内で、見るべきは計画に対する進捗
  • 崩れるサイン:通期受注計画7.0兆円に対する進捗の遅れ(1Q末は28.9%)/大型案件の失注・期ズレ/電力投資サイクルの転換
前提 3実行力(採算)

大型プロジェクトで損失を出さず、事業利益率を前期の8.7%から通期計画の10.0%へ引き上げきる

  • 客船・国産ジェットの歴史が示す通り、総合重工の最大の内部リスクは大型案件の損失。事業利益率の推移が体温計
  • 1Q(4〜6月)は13.4%で通期計画10.0%を上回って始まった。ただし総合重工の採算は案件構成と検収時期で四半期ごとに振れるため、1四半期で結論は出ない
  • 崩れるサイン:四半期の事業利益率が10.0%を下回る水準へ戻る/特定案件の損失計上/事業利益率の低下傾向/2025年9月型の業績下方修正の再発
遠い脅威評価の重力

PER35倍という物差しそのものの持続性

  • 業績がすべて順調でも、市場の物差しが「普通の重工」(15〜20倍)へ戻るだけで株価は大きく下がる。この銘柄の最大のリスクは業績でなく評価——IHIとの倍率差の推移が、プレミアムの体温計になる
  • 逆に、防衛×エナジーの成長が数年続けば、いまの物差しが「新しい普通」になる可能性もある——それを決めるのは四半期ごとの受注と利益の実額
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いまの株価は割高か、割安か(本丸プレミアムの値段)

PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算・2024年3月の1:10分割は調整済み)。

PERの推移(直近2年・日次) 2024-05 → 2026-08-14

計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。決算開示は13:30(場中)のため当日から、2025/9/30の下方修正(23:00)のみ翌営業日から分母に反映。

いま
PER 37.6倍
2026-08-14(終値ベース・会社予想EPS 113.09円)
直近2年の中央値
35.8倍
およそ18〜71倍のレンジで推移
参考:IHI
19倍前後
ただしIHIの予想益には計画的な資産売却等の一過性が乗る=実力ベースでは倍率差は2倍より縮む可能性(IHIページ参照)

読み方 ── この2年のPERは19.4倍→最大67倍→いま35.8倍。特徴的なのは、2025年9月の業績下方修正のあとも物差しが下がらなかったこと——この銘柄は「数字」ではなく「防衛×エナジーというテーマの確度」で値付けされてきた証拠です。いまの35.8倍は、高値の67倍からは大きく冷えたものの、年間受注高7.7兆円・受注残13.2兆円(年間売上の約2.7年分)という将来売上の厚みまで織り込んだ水準。5/12に好決算で売られた実例が示す通り、この物差しの維持には会社計画の達成だけでなく、株価が要求しているように見える成長軌道を上回り続けることが要る——そこがIHIとの最大の違いです。

いまの株価に織り込まれている前提

いまの4,044円(8/7終値・予想PER 35.8倍)は、「防衛予算の拡大とエナジーの受注の勢いが数年続き、EPS+14%を上回るペースの成長が見えてくる」という前提を織り込んだ値段です。IHIとの評価差2倍は、その確度への上乗せ分。

崩れる合図──11月上旬の2Q決算で通期受注計画7.0兆円への進捗が失速する(1Q末は28.9%)/事業利益率が通期計画10.0%を下回る形に戻る(1Qは13.4%)/防衛政策の後退/大型案件の損失。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。

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価格の地図——過去1年、どの値段で折り返してきたか

売買の指示はしません。過去1年の値動きが「どの価格帯で折り返してきたか」を、機械的なルールで塗った地図です。決めるのは、この地図を見たあなたです。

価格の地図(直近1年・調整後終値) 2025-07-29 → 2026-08-10

この地図には2種類の帯があります。面の帯(塗り)=10日以上離れて3回以上、値動きが折り返した価格帯。青の斜線=下げ止まりの記録がある支持帯、橙の点=上値を抑えられた記録がある抵抗帯枠の帯(囲み)=大きな値動きが始まった起点の値幅(青枠=上向き、橙枠=下向きの起点)。帯の位置は機械的なルールで引き、名前(支持帯・抵抗帯・上場来高値の帯など)は分かりやすさのための呼び名です——手で選んでいません。チャート上の①〜⑥は、下の説明と対応しています。各帯のPERは会社予想EPS 113.09円(2027年3月期・2026-08-04開示)で換算した参考値で、予想EPSが変わればPERの位置も動きます。現在値 4,004円は③抵抗帯(3,969〜4,184円)の中にあります。

① 抵抗帯 4,885〜5,038円(1月〜4月に3回反落・PER43.2〜44.6倍)

接触3回:反落3・上抜け0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=01/20、03/18、04/08

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

② 支持帯 4,324〜4,444円(1月〜4月に3回下げ止まり・PER38.2〜39.3倍)

接触3回:下げ止まり3・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=01/28、03/09、04/22

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

③ 抵抗帯 3,969〜4,184円(いまの株価がいる帯・25年8月〜26年7月に4回反落・PER35.1〜37.0倍)

接触4回:反落4・上抜け0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=08/13、06/18、07/07、07/24

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

④ 支持帯 3,784〜3,981円(10月〜12月に3回下げ止まり・PER33.5〜35.2倍)

接触3回:下げ止まり3・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=10/14、11/25、12/29

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

⑤ 25年10月の大きな上げの起点の帯 3,658〜3,748円(PER32.3〜33.1倍)

2025-10-02から5営業日で+15.4%の上げが始まった日の値幅(5.2ATR)|その後の再訪4回:下げ止まり2・割れ2・未決着0|⑥の帯と一部交差

⑥ 支持帯 3,455〜3,664円(25年9月〜26年8月に5回下げ止まり・PER30.5〜32.4倍)

接触5回:下げ止まり5・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=09/03、09/19、06/26、07/17、08/03

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 1,982〜2,049円(25年2月の大きな上げの起点・現換算PER17.5〜18.1倍)

5営業日で+26.8%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 1,250〜1,401円(24年8月の大きな上げの起点・現換算PER11.1〜12.4倍)

5営業日で+40.0%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 889〜926円(23年9月の大きな下げの起点・現換算PER7.9〜8.2倍)

5営業日で-7.6%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前)——ほか2本を開く
1,420〜1,458円(24年5月の大きな下げの起点・現換算PER12.6〜12.9倍)

5営業日で-13.3%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

1,915〜1,949円(24年8月の大きな下げの起点・現換算PER16.9〜17.2倍)

5営業日で-11.9%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

参考:PERの物差し(会社予想EPS 113.09円=2027年3月期予想・2026-08-04開示)

31倍=3,506円/32倍=3,619円/35倍=3,958円/39倍=4,411円/44倍=4,976円/45倍=5,089円。現値4,004円≒PER35.4倍。

※PERは会社予想が変わればラインごと動きます。帯とPER水準が重なるのは結果であって、どちらかが根拠というわけではありません。

⚠ 過去に折り返した帯・値動きの起点の帯は約束ではありません。支持帯を終値で2日連続下回った場合は、その帯の下げ止まり記録が崩れたものとして、次の開示と市場全体の地合いを確認します。帯のルール=面の帯:10日以上離れた接触3回以上・幅は接触価格±0.25ATR/枠の帯:直前5日の終値最安(最高)の日から5営業日以内に3.0ATR以上動いた日の値幅(値動きの大きい順に各方向3本まで・今回ほかに9本の起点を省略)。この帯は毎週、同じルールで機械的に引き直します。

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テクニカルと需給の現在地

下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。

下値の目安とサイン(日足75本) 〜2026-08-14

↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。

━ 青い線=25日線(3,867円・8/7時点)6月の底打ち後、線を挟んだ攻防が続く。いまの4,044円は線の+4.6%上で、8/4以降の終値は線を上回っている
━ 赤い点線=押し安値(3,626円・7/17)市場全体の急落日の安値。ここを終値で割ると7月の戻りの形が崩れる
━ 灰色の点線=年初来安値(3,404円・6/11)▼35%調整の底。ここを割ると調整の第2段階入り(強い警戒)
上の節① 4,110円(7/6)防衛セクター資金回帰の日の戻り高値。ここを出来高を伴って超えると底打ちの形が固まる
上の節② 5,208円(3/2・上場来高値・取引時間中)PER67倍の頂点。ここまでの間には4,300〜4,600円(4-5月の滞留帯)など節が階段状に残る
200日線は4,275円長期トレンドの物差し(フル指標版で確認できます)

信用残の1年

信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移

信用残(週次)と売買代金 2025-07 → 2026-08-14

左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。

━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)いま2,502万株(7/17公表)=出来高の1.3日分。大型株として重くはないが、下落局面で増えてきた場合は難平の積み上がりに注意
━ 青い線=信用売り残(あとで買い戻す予約)73万株・倍率34倍。需給の主役は機関・海外勢の資金フロー
棒グラフ=売買代金1日平均約905億円(直近60日)と国内最大級。時価総額 約13.3兆円

まとめ ── 6/11の3,404円で底を打ち、3,600〜4,100円の往来で方向待ち。信用買い残は約987億円分あるが流動性の中では主因ではなく、値段を決めるのは防衛テーマへの資金の出入り。8/4の1Qは受注の通期見通しだけが7.0兆円へ引き上げられ、株価は当日+7.7%。次の点検は8月末の防衛省概算要求と、11月上旬の2Q決算。全体の結論は最終章「総合判断」へ。

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総合判断と、今後の注目点

ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:受注残14.1兆円(1Q末)と防衛×エナジーの両輪は健在。1Qの事業利益率13.4%は通期計画10.0%を上回るが、売上・利益の通期見通しは据え置き。ただしPER35倍台は市場期待超えを要求する物差し/需給:信用買い残は主因ではなくテーマ資金が主導/テクニカル:▼35%調整から往来で方向待ち。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。

✅ 反転・続伸が「本物」と確認できるサイン(上向き)

  • 2Q以降も事業利益率が通期計画10.0%を上回る形で進む(1Qは13.4%・事業利益の進捗29.6%)
  • 引き上げ後の通期受注7.0兆円に対し、航空・防衛・宇宙の積み上がりが進む(1Q実績1,209億円=通期1兆7,500億円の7%)
  • 戻り高値4,110円(7/6)を出来高を伴って超える——底打ちの形の完成
  • 防衛省の概算要求(8月末)で装備調達の拡大が確認される
  • IHIとの評価差が保たれたまま両銘柄が堅調(テーマ全体の健全さ)

⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)

  • 押し安値3,626円(7/17)を終値で割り込む
  • 年初来安値3,404円(6/11)割れ=調整の第2段階(強い警戒)
  • 2Q決算が市場の期待に届かない——会社計画どおりでも、株価が織り込む軌道を下回れば失望になり得る(5/12の実例)
  • 通期受注計画7.0兆円への進捗の遅れ・大型案件の損失計上・下方修正の再発(2025年9月の前歴・前年比の受注減だけなら計画の内)
  • 大規模な停戦・防衛予算の縮小観測——業績より先に物差し(PER)に来る

📅 次に見るカレンダー

  • 8月末ごろ:防衛省 概算要求——物差しを支える前提の年次定点。引き上げ後の航空・防衛・宇宙1兆7,500億円(1Q末進捗7%)の前提を確認する場
  • 11月上旬:第2四半期決算(過去4年は11/1〜11/7・いずれも13:30の開示)──35倍台の物差しの次の点検。通期受注7.0兆円への進捗(1Q末28.9%)と、事業利益率が通期計画10.0%を上回り続けるか(1Qは13.4%)
  • 随時:防衛政策・エネルギー政策の報道/ドル円

🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — 三菱重工業(7011)

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出典・参考資料

このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。

出典をすべて見る(タップで開く)

三菱重工業の適時開示(一次情報)

  • 2024/5/8 2024年3月期 決算短信〔IFRS〕──2025年3月期予想(分割調整後EPS 68.43円)の出典
  • 2025/5/9 2025年3月期 決算短信──2026年3月期予想(EPS 77.43円)の出典
  • 2025/9/30 業績予想の修正に関するお知らせ(23:00開示)──EPS 68.49円への下方修正の出典
  • 2026/2/4 2026年3月期 第3四半期決算短信──通期予想の再上方修正(EPS 77.38円)
  • 2026/5/12 2026年3月期 決算短信──受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円・エナジー牽引)・売上4兆9,741億円・事業利益4,322億円(率8.7%)・EPS 98.86円・FCF 8,934億円(契約負債の増加が寄与)・現金1兆3,348億円/有利子負債5,157億円・2027年3月期計画(受注6兆8,000億・売上5兆4,000億・事業利益5,400億・EPS 113.09円・配当29円)の出典
  • 2026/5/12 2025年度決算説明資料──受注残高13兆2,376億円(前年度末比+3兆13億円)・大型ガスタービン35台受注/GT受注残5兆円超・今期FCF予想3,000億円の出典
  • 2026/8/4 2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)──1Q売上収益1兆1,942億円(+15.5%)・事業利益1,596億円(+65.1%・率13.4%)・親会社所有者帰属四半期利益1,346億円(+97.4%)・1株当たり40.08円/通期予想(売上5兆4,000億・事業利益5,400億・当期利益3,800億・EPS 113.09円・年間配当29円)は修正なしの出典
  • 2026/8/4 2026年度第1四半期決算説明資料──1Q受注高2兆224億円(+26%)・受注残高14兆1,030億円(前年度末比+8,653億円)/通期受注高見通し6兆8,000億円→7兆円(エナジー3兆4,500億→3兆5,500億円、航空・防衛・宇宙1兆6,500億→1兆7,500億円)/1Qエナジー受注1兆3,593億円・うちGTCC 9,300億円/航空・防衛・宇宙1Q受注1,209億円の出典
  • 三菱重工業 公式サイト(決算短信・説明資料の原本は公式サイトIRページから)

データの出典

  • 株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース(株価は2024/3の1:10分割・2017/10の併合を調整済み)
  • PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
  • IHIとの比較PER:当サイトのIHI(7013)ページと同一基準日・同一方法で算出
  • 開示の時刻(13:30等):適時開示の公表時刻の実データ

決算数値は適時開示の実数。「防衛の主契約の中心」等の事業上の位置づけは公知の事実に基づく記述です。

このページの約束:①嘘を書かない ②煽らない ③外れる条件(見直しのサイン)を必ず書く ④どこにも誘導しない。「上がる/下がる」は言い切らず、しくみ・事実・見直しの条件・見ておく場所だけをお伝えします。