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年間受注高7兆6,536億円・受注残13兆2,376億円(年間売上の約2.7年分)——防衛・エナジーを両輪に、コロナ期の安値から約24倍の高値5,208円まで買われた「防衛の本丸」。いまは高値から▼22%の4,044円(8/7終値)、それでも予想PERは約36倍と、同業IHI(19倍前後)のほぼ2倍の評価が残る。
この高い物差しを、受注・採算・防衛予算の可視性はどこまで支えるのか——好決算でも売られた5月を含めて、この1ページで整理する。
📌 今週の要点:8/4(火)13:30に1Q決算が開示された。事業利益1,596億円(前年同期比+65%)・受注高2兆224億円(同+26%)で、通期見通しのうち受注高だけが6.8兆円から7.0兆円へ引き上げ(売上・事業利益・配当は据え置き)。株価は開示当日に+7.7%(出来高5,586万株)、週間は+7.4%の4,044円。同じ週のTOPIXは+1.8%、川崎重工は+0.6%、IHIは▼2.9%。
① 新しく分かったこと
➡️ 1Q(4〜6月)の事業利益は前年同期の1.65倍——利益率13.4%は通期計画の10.0%を上回る
売上収益1兆1,942億円(前年同期比+15.5%)、事業利益1,596億円(同+65.1%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益1,346億円(同+97.4%)。事業利益率13.4%は前年同期の9.4%(ロジスネクスト分を除いた組替後)から4.0ポイント上がった。通期計画に対する1Qの積み上がりは、事業利益が29.6%(5,400億円のうち1,596億円)、売上収益が22.1%(5兆4,000億円のうち1兆1,942億円)。受注残高は14兆1,030億円で、前年度末の13兆2,376億円から8,653億円増えた(出典:8/4 1Q決算短信・決算説明資料)。
→ 見方:「受注残を売上に変えながら利益率を上げる」という今期の設計のうち、利益率のほうが最初の四半期で先に数字になった形。一方で売上の進み方22.1%は、通期を単純に4等分した25%には届いていない。会社は売上・事業利益の通期見通しを据え置いている。なお四半期利益の+97.4%には円安による為替差益が乗っている(会社説明)ため、本業の伸びは事業利益の+65.1%のほうで見るのが素直。
➡️ 通期見通しは「受注高だけ」引き上げ——エナジーと航空・防衛・宇宙で各1,000億円
通期の受注高見通しは6兆8,000億円→7兆円(前年度比▼8.5%)。内訳はエナジーが3兆4,500億円→3兆5,500億円、航空・防衛・宇宙が1兆6,500億円→1兆7,500億円。一方で売上収益5兆4,000億円・事業利益5,400億円・当期利益3,800億円・年間配当29円(中間14円/期末15円)は5/12公表から変更がない。1Qのエナジー受注は1兆3,593億円(前年同期8,713億円)で、うちGTCC(ガスタービン複合発電)が9,300億円(同6,025億円)と伸びた。
→ 見方:受注は将来の売上の予約、売上・利益は今期の実現分。会社は前者だけを引き上げ、後者は動かさなかった。この差をどう読むかが、いまの評価水準を考えるうえでの論点になる。
➡️ 航空・防衛・宇宙の1Q受注は1,209億円——前年同期から2,298億円の減少
前年同期(3,508億円)に大型受注があったことの反動と会社は説明している。引き上げ後の通期見通し1兆7,500億円に対する1Q末の進捗率は7%。ただし同セグメントの売上収益は2,860億円(+255億円)、事業利益は324億円(+13%)と、いずれも前年同期を上回った。
→ 見方:防衛の受注は大型案件の有無で四半期ごとに大きく振れる。1四半期の数字だけでは方向を読み取れないため、通期の進捗として追う項目。
➡️ 原子力で会社発表が1件、宇宙で日程の動きが1件
・8/5、経済産業省の「次世代革新炉の開発・建設に向けた技術開発・サプライチェーン構築支援事業」に自社提案3件が採択されたと会社が発表。うち1件は国産技術による小型軽水炉(SMR)の炉型・要素技術開発で、「地震・津波など日本特有の自然条件へ適合する」開発を加速するとしている。金額および業績への影響についての記載はない(出典:三菱重工プレスリリース)。
・8/4、H3ロケット9号機(準天頂衛星「みちびき」7号機を搭載)の打ち上げが台風接近にともない延期され、その後8/10に再設定された(出典:JAXA・報道)。
→ 見方:どちらも4〜6月の1Q実績には入っていない。SMRの採択は開発段階の話で、今期の損益に結びつく内容は示されていない。
② 見立ては変わったか → 🚩 要検討。本文は「通期受注計画6.8兆円(前年度比▼11%)への進捗」を前提に置いているが、8/4に会社がこの計画を7.0兆円(同▼8.5%)へ引き上げた。あわせて1Qの事業利益率13.4%が通期計画の10.0%を上回っている。本文が土台にしていた数字がこの2点で動いたため、「受注・採算がPERを支えるか」という問いの立て方も含めて次回の本文更新で検討する。ただし売上・事業利益・当期利益・配当の通期見通しは据え置きで、問いそのものが消えたわけではない。ここでは要検討と記すだけで、本文の見立ては書き換えていない。
③ 🔒 前に見ていた材料、その後(8/1に書いたまま・書き換えていません)
(a) 8/5ごろの1Q決算=通期受注計画6.8兆円への進捗と受注残13.2兆円の売上化・採算 → 決算は8/4(火)13:30に開示された。1Qの受注高は2兆224億円、通期の受注見通しは同日に6.8兆円から7.0兆円へ引き上げられた。受注残高は14兆1,030億円(前年度末13兆2,376億円から+8,653億円)。売上収益1兆1,942億円・事業利益1,596億円・利益率13.4%。
(b) 押し安値3,626円(7/17)を終値で維持できるか → 8/3の場中に3,621円まで下げ、3,626円を5円下回る場面があった。同日の終値は3,799円で、週を通じて終値が3,626円を下回った日はない。
(c) 4,110円(7/6の戻り高値)を出来高を伴って回復できるか → 8/4の高値4,155円(出来高5,586万株=今週最大)は4,110円を上回った。ただし同日の終値は4,091円で、これが週内でいちばん高い終値。終値では4,110円に届いていない。
(d) 1Q決算での通期(受注6.8兆円・事業利益5,400億円)に対する進み具合と利益率 → 事業利益1,596億円は通期計画5,400億円の29.6%、利益率13.4%は通期計画の10.0%を上回る。売上収益1兆1,942億円は通期5兆4,000億円の22.1%。受注高2兆224億円は、引き上げ後の通期7.0兆円に対して28.9%。
(e) 3,806円(7/31時点の25日線)を終値で上回る場面が出るか → 8/4以降の4営業日の終値(4,091円・4,000円・3,998円・4,044円)はいずれも3,806円を上回った。8/7時点の25日線は3,867円。
(f) 7/31時点の信用残で買い残2,294万株が減るか増えるか → 買い残2,287万株(▼6.9万株)でほぼ横ばい。売り残は89.7万株から124万株に増え、信用倍率は25.6倍から18.4倍になった。この集計は8/4の決算より前の時点。
今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)
(g) 2Q以降も、事業利益率が通期計画10.0%を上回る形で進むか(1Qは13.4%・通期5,400億円に対し29.6%)。次の四半期決算は例年11月上旬(過去4年は11/1〜11/7・いずれも13:30の開示)
(h) 引き上げ後の通期受注7.0兆円に対し、航空・防衛・宇宙の受注(1Q実績1,209億円=通期1兆7,500億円の7%)が2Q以降どう積み上がるか。8月末の防衛省概算要求が最初の手がかり
(i) 4,110円(7/6の戻り高値・この値を固定して見る)を終値で上回る場面が出るか。8/7時点の25日線は3,867円
④ 📅 次に見るもの——8/10 H3ロケット9号機の打ち上げ予定(8/4に台風接近で延期・天候次第で再延期の可能性)・8月中旬公表の信用残(8/7時点=決算後の初回集計)・防衛省の来年度概算要求(8月末)・2Q決算(例年11月上旬)。
📌 今週の要点:7/24の3,945円から7/31は3,764円で、週間▼4.6%。同じ週にTOPIXは▼0.2%、川崎重工は▼0.8%、IHIは▼1.8%で、防衛・重工の中では下げ幅がいちばん大きかった。7/28以降の終値は25日線(3,806円)を下回った状態が続いている。1Q決算はまだ出ていない(7/27〜7/31の適時開示はゼロ)。
① 新しく分かったこと
➡️ 決算を待つ週に、防衛・重工の中で下げ幅がいちばん大きかった
週間▼4.6%に対し、TOPIX▼0.2%・川崎重工▼0.8%・IHI▼1.8%。7/31は始値3,855円(前日比+3.2%)と高く始まり、終値は3,764円(前日比+0.75%)で寄り付きからは上げ幅を縮めた。この日の出来高2,242万株は週内で最大だった。
→ 見方:市場全体や同業と比べて、この銘柄に固有の売りが出た週。ただし理由を示す開示は出ておらず、何を織り込んだ動きなのかはこの時点では確かめられない。信用買い残は7/24時点で2,294万株(前週から▼208万株)だが、これは今週の値動きより前の集計。
➡️ 宇宙(H3ロケット)で2件の動き。いずれも会社の適時開示ではない
・7/30、文部科学省の対策本部が、H3ロケット8号機(令和7年12月22日に打上げ失敗)の原因究明報告書について報告を受け了承した。報告書自体は7/23の宇宙開発利用部会(第107回)で決定済み(出典:文部科学省)。これは原因究明と対策の手続きが一区切りついたという話で、打ち上げ再開そのものの決定ではない。
・7/29、ispaceが三菱重工とH3ロケットの打上げ輸送サービス契約を締結したと発表(新型月着陸船「ULTRA」・2028年打ち上げ予定)。
→ 見方:どちらも金額や損益への影響は示されていない。7月の出来事なので4〜6月の1Q実績には入らず、受注や事業の進み方として今後どう見えてくるかを追う材料。
➡️ 次期戦闘機(日英伊GCAP)の生産体制について報道(7/26)
機体の組み立てを愛知で担う方向、という47NEWSの独自報道。会社の開示ではないため、1Qの説明資料など今後の開示で裏を取る材料。
② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし。「PER33〜35倍という高い物差しを、受注・採算・防衛予算の可視性がどこまで支えるか」という本文の問いは動いていない。今週は業績の前提に関わる開示が1件も出ておらず、判断材料が増えていないため。
③ 🔒 前に見ていた材料、その後(7/25に書いたまま・書き換えていません)
(a) 8/5ごろの1Q決算=通期受注計画6.8兆円への進捗と受注残13.2兆円の売上化・採算 → 7/27〜7/31に7011からの適時開示はゼロ。まだ出ていない。過去2年の1Q短信は2025年8/5・2024年8/6のいずれも13:30開示だった(2026年の確定日程は会社の告知を確認)。
(b) 押し安値3,626円(7/17)を終値で維持できるか → 今週の安値は7/29の3,701円、終値でいちばん低いのは7/30の3,736円。3,626円は下回っていない。
(c) 4,110円(7/6の戻り高値)を出来高を伴って回復できるか → 今週の高値は7/27の3,981円。4,110円には届いていない。
今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)
(d) 1Q決算(過去2年は13:30の場中開示=当日午後に反応が出る形)で、通期の受注6.8兆円・事業利益5,400億円に対する1Qの進み具合と利益率
(e) 3,806円(7/31時点の25日線・この値を固定して見る)を終値で上回る場面が出るか
(f) 8月上旬に公表される7/31時点の信用残で、買い残2,294万株がさらに減るか増えるか
④ 📅 次に見るもの——8/5ごろ 1Q決算(過去2年は13:30の場中開示)・8月上旬公表の信用残(7/31時点)・防衛省の来年度概算要求(8月末)。
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出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™
受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円)・売上4兆9,741億円・事業利益4,322億円と、防衛・エナジーの両輪で拡大が続く。今期はEPS113.09円(+14%)予想。8/4の1Qでは受注の通期見通しだけが7.0兆円へ引き上げられ、売上・事業利益・配当は据え置き。注意点は「業績の伸び」より「評価(PER35倍台)の高さ」が先行していること——5/12の好決算で売られたのは、数字が悪かったからではなく、株価が要求する水準がもっと上にあったから。受注残14兆1,030億円(1Q末・前年度末比+8,653億円)という将来売上の厚みが、この評価の最大の支え。
信用買い残2,502万株(終値換算で約987億円・7/17公表)は規模として小さくないが、1日の出来高(約2,000万株)の1.3日分=この流動性の中では単独で相場を決める需給ではない。実際、7/6+8.4%→7/8▼4.7%はIHIも同方向に動いた日で、値段を動かしたのは防衛テーマへの資金の出入りだった(個別需給では説明がつかない)。
3/2高値5,208円→6/11安値3,404円(▼35%)の調整を経て、3,600〜4,100円の往来。いまの4,044円(8/7終値)は25日線(3,867円・8/7時点)の+4.6%上。確認は ①押し安値3,626円(7/17)を守るか ②戻り高値4,110円(7/6)超え ③11月上旬の2Q決算 で。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
株価24倍の道のりはIHIと同じ「防衛予算の拡大」が起点ですが、三菱重工にはさらに3つのプレミアムの源泉が重なっています。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
① 開示は13:30、反応は当日の午後から
決算は13:30(場中)が定例です。5/12の▼1.9%は当日の午後に出た反応で、本音の売りは2日後の▼5.5%に出ました。IHI(13:00)と同じく、当日と翌日以降の2段構えで読む銘柄です。
② 「良い決算=上がる」が通用しない評価水準
株価が反応するのは「実績と会社計画の差」ではなく「実績と、株価が既に織り込んでいる期待の差」です。会社計画どおりでも株価の要求水準を上回れば上がり、計画超えでも要求に届かなければ売られる——5/12は後者だった、というのがこの銘柄の読み方です。
③ IHIとセットで見る
同じ防衛テーマで物差しが2倍違う2社です。三菱重工が下がってIHIが下がらない日は「本丸プレミアムの剥落」、両方下がる日は「テーマ全体の資金流出」——2枚並べると、下げの原因が読み分けられます(IHIのページもあります)。
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。三菱重工業はエナジー(ガスタービン・原子力・蒸気)・プラント/インフラ・物流/冷熱/ドライブ・航空/防衛/宇宙の4セグメント。日本最大の総合重工で、防衛装備の国内主契約の中心。東証プライム上場・3月決算(IFRS)。数字の出どころは決算短信の実数です。
受注残13.2兆円(1Q末は14.1兆円)の意味 ── 年間売上約5兆円に対して約2.7年分(受注残÷売上の機械的な目安で、全てが同じ採算で売上化する保証はない)。今期の会社計画は受注7.0兆円(▼8.5%・8/4に6.8兆円から引き上げ)と前年度比では減る一方、売上5.4兆円(+8.6%)・事業利益5,400億円(+25%・利益率10%)=「受注残を売上化して利益率を上げる年度」として設計されている。だから1Qで見るべきは受注の前年比ではなく、通期7.0兆円への進捗と、受注残から売上・利益への転換の質。1Q末の受注残は14兆1,030億円へ、前年度末から8,653億円増えた——今期は受注残を取り崩す年度の設計だったが、初回の四半期は逆に積み上がっている。財務も厚い——前期FCF 8,934億円(ただし大型受注の前受金の寄与が大きく、会社の今期FCF予想は3,000億円)・現金1兆3,348億円に対し有利子負債5,157億円(各数値は決算短信・説明資料より。下の出典参照)。
8/4に会社が動かしたのは「受注の見通しだけ」だった ── エナジー(GTCC)と航空・防衛・宇宙で各1,000億円ずつ、合わせて2,000億円の引き上げ。一方で売上収益5兆4,000億円・事業利益5,400億円・当期利益3,800億円・年間配当29円は5/12公表から動いていない(短信の「直近に公表されている業績予想からの修正の有無:無」)。受注は将来の売上の予約、売上・利益は今期の実現分——会社は前者だけを上げ、後者は据え置いた。1Q末の受注残が14兆1,030億円へ8,653億円増えたことも、同じ向きの事実になる。これを「来期以降の土台が厚くなった」と読むか、「今期の利益にはまだ効かない」と読むかで、PER35倍台の評価は変わる。このページは答えを出しません——見るのは、7.0兆円への進捗(1Q末28.9%)と、事業利益率が10.0%を上回り続けるか(1Qは13.4%)の2点です。なお1Qの親会社所有者帰属四半期利益の+97.4%には円安による為替差益が乗っており(会社説明)、本業の伸びは事業利益の+65.1%で見ます。前年同期の数値は三菱ロジスネクスト等を非継続事業に組み替えた後の数字で、組替前の数字とは混ぜられません(短信注記)。
この鎖のいちばん最後(物差しの正当化)が他の銘柄より重いのがこの会社の特徴です。数字がすべて計画通りでも、期待がそれ以上なら株価は下がる——確認の場は四半期決算(13:30開示)と防衛・エネルギー政策。
その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く
短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります。
PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算・2024年3月の1:10分割は調整済み)。
計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。決算開示は13:30(場中)のため当日から、2025/9/30の下方修正(23:00)のみ翌営業日から分母に反映。
読み方 ── この2年のPERは19.4倍→最大67倍→いま35.8倍。特徴的なのは、2025年9月の業績下方修正のあとも物差しが下がらなかったこと——この銘柄は「数字」ではなく「防衛×エナジーというテーマの確度」で値付けされてきた証拠です。いまの35.8倍は、高値の67倍からは大きく冷えたものの、年間受注高7.7兆円・受注残13.2兆円(年間売上の約2.7年分)という将来売上の厚みまで織り込んだ水準。5/12に好決算で売られた実例が示す通り、この物差しの維持には会社計画の達成だけでなく、株価が要求しているように見える成長軌道を上回り続けることが要る——そこがIHIとの最大の違いです。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの4,044円(8/7終値・予想PER 35.8倍)は、「防衛予算の拡大とエナジーの受注の勢いが数年続き、EPS+14%を上回るペースの成長が見えてくる」という前提を織り込んだ値段です。IHIとの評価差2倍は、その確度への上乗せ分。
崩れる合図──11月上旬の2Q決算で通期受注計画7.0兆円への進捗が失速する(1Q末は28.9%)/事業利益率が通期計画10.0%を下回る形に戻る(1Qは13.4%)/防衛政策の後退/大型案件の損失。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
売買の指示はしません。過去1年の値動きが「どの価格帯で折り返してきたか」を、機械的なルールで塗った地図です。決めるのは、この地図を見たあなたです。
この地図には2種類の帯があります。面の帯(塗り)=10日以上離れて3回以上、値動きが折り返した価格帯。青の斜線=下げ止まりの記録がある支持帯、橙の点=上値を抑えられた記録がある抵抗帯。枠の帯(囲み)=大きな値動きが始まった起点の値幅(青枠=上向き、橙枠=下向きの起点)。帯の位置は機械的なルールで引き、名前(支持帯・抵抗帯・上場来高値の帯など)は分かりやすさのための呼び名です——手で選んでいません。チャート上の①〜⑥は、下の説明と対応しています。各帯のPERは会社予想EPS 113.09円(2027年3月期・2026-08-04開示)で換算した参考値で、予想EPSが変わればPERの位置も動きます。現在値 4,004円は③抵抗帯(3,969〜4,184円)の中にあります。
接触3回:反落3・上抜け0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=01/20、03/18、04/08
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触3回:下げ止まり3・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=01/28、03/09、04/22
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触4回:反落4・上抜け0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=08/13、06/18、07/07、07/24
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
接触3回:下げ止まり3・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=10/14、11/25、12/29
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
2025-10-02から5営業日で+15.4%の上げが始まった日の値幅(5.2ATR)|その後の再訪4回:下げ止まり2・割れ2・未決着0|⑥の帯と一部交差
接触5回:下げ止まり5・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=09/03、09/19、06/26、07/17、08/03
この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い
5営業日で+26.8%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で+40.0%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-7.6%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-13.3%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
5営業日で-11.9%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。
参考:PERの物差し(会社予想EPS 113.09円=2027年3月期予想・2026-08-04開示)
31倍=3,506円/32倍=3,619円/35倍=3,958円/39倍=4,411円/44倍=4,976円/45倍=5,089円。現値4,004円≒PER35.4倍。
※PERは会社予想が変わればラインごと動きます。帯とPER水準が重なるのは結果であって、どちらかが根拠というわけではありません。
⚠ 過去に折り返した帯・値動きの起点の帯は約束ではありません。支持帯を終値で2日連続下回った場合は、その帯の下げ止まり記録が崩れたものとして、次の開示と市場全体の地合いを確認します。帯のルール=面の帯:10日以上離れた接触3回以上・幅は接触価格±0.25ATR/枠の帯:直前5日の終値最安(最高)の日から5営業日以内に3.0ATR以上動いた日の値幅(値動きの大きい順に各方向3本まで・今回ほかに9本の起点を省略)。この帯は毎週、同じルールで機械的に引き直します。
下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。
信用残の1年
信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移
左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。
まとめ ── 6/11の3,404円で底を打ち、3,600〜4,100円の往来で方向待ち。信用買い残は約987億円分あるが流動性の中では主因ではなく、値段を決めるのは防衛テーマへの資金の出入り。8/4の1Qは受注の通期見通しだけが7.0兆円へ引き上げられ、株価は当日+7.7%。次の点検は8月末の防衛省概算要求と、11月上旬の2Q決算。全体の結論は最終章「総合判断」へ。
ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:受注残14.1兆円(1Q末)と防衛×エナジーの両輪は健在。1Qの事業利益率13.4%は通期計画10.0%を上回るが、売上・利益の通期見通しは据え置き。ただしPER35倍台は市場期待超えを要求する物差し/需給:信用買い残は主因ではなくテーマ資金が主導/テクニカル:▼35%調整から往来で方向待ち。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
決算数値は適時開示の実数。「防衛の主契約の中心」等の事業上の位置づけは公知の事実に基づく記述です。