銘柄レポート🔖 毎週土曜更新

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)株価分析 銀行業

コロナ期の安値380円から、いま上場来高値3,813円——約10倍。マイナス金利の時代に「稼げない業種」の代表だった銀行が、「金利ある世界」への回帰で純利益2兆4,272億円の過去最高、来期の目標は2.7兆円
この10倍は利益の成長と、物差し(PER)の切り上がりの合わせ技——その中身と、金利が逆回転したとき何が起きるかを、この1ページで整理する。

三菱UFJの今と見どころ📊 株価データ:2026-08-14終値(毎日夜更新)
✍ 見立て・本文:2026-08-08執筆(週1+イベント時更新)
次回の本文更新:8/15(土)ごろ
30秒だけの人へ
  • 国内最大の金融グループ(銀行・信託・証券・カード・米Morgan Stanleyへの出資)。マイナス金利の時代に「稼げない」と評価され2020年に380円まで売られた株が、金利の復活とともに利益も評価も切り上がり、7/27に上場来高値3,813円(取引時間中)=約10倍を付けた(直近の終値は3,564円・8/7)。銀行セクターは直近3ヶ月+20.3%と33業種で3位、三菱UFJ単体は同+24.5%とその先頭にいる。
  • 前期は純利益2兆4,272億円で過去最高(期中目標2.1兆円を大幅上振れ)。今期の目標は2.7兆円(8/3発表の1Q純利益8,094億円で進捗率30.0%)で、配当は前期86円→今期96円へ+10円の増配予想+自社株買い(直近1,000億円)と還元も厚い。ただし銀行は業績「予想」でなく「目標」形式で開示する点は知っておきたい。
  • 8/3発表の1Q決算は純利益8,094億円・通期目標2.7兆円への進捗率30.0%(7/31の日銀会合は政策金利1.0%で据え置き)。次の焦点は8/12の米CPIと、9月の日銀会合。株価の物差しは25日線(3,562円)と決算の反応日8/4の終値3,470円。金利が上がる限り追い風、逆回転が最大のリスク——シンプルにそういう銘柄。
いまの状態
業績純利益 1.86兆円→2.43兆円(過去最高)→目標2.7兆円。国内金利の上昇で貸出の利ざやが構造的に改善し、Morgan Stanley持分法益も追い風。1Q(4〜6月)は資金利益+27.7%・持分法益+65.6%で純利益8,094億円 株価の流れ年初来安値2,517円(1/5)→5月の決算で一段高→7/27に上場来高値3,813円。そこから日銀会合と1Q決算を挟んで反落し、8/4に3,470円。戻して8/7終値は3,564円。7月単月+11.4% 需給信用買い残3,373万株(7/31時点)は1日の出来高(約4,380万株)の0.8日分=無視できる規模。時価総額約42兆円の超大型株で、需給より金利がすべて 割安度目標純利2.7兆円ベースでPER 15.0倍(8/7終値3,564円)。マイナス金利の時代は7〜9倍が定位置だった——物差しそのものが切り上がった(リレーティング)のがこの3年
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📝 今週なにが変わったか 8/8更新

📌 今週の要点:8/3の引け後に1Q決算が出た週。純利益は8,094億円(前年同期5,460億円)で、通期目標2.7兆円に対する進捗率は30.0%。週間騰落率は▼0.2%(3,571円→3,564円)で、同じ週のTOPIXは+1.8%、銀行業指数は+1.5%だった。決算の反応日にあたる8/4の終値は前日比▼2.7%で、その後の3営業日で8/3の終値とほぼ同じ水準に戻っている。

① 新しく分かったこと

➡️ 1Qの中身——資金利益が+27.7%
8/3 16:00開示の決算短信より(カッコ内は前年同期):連結業務粗利益1兆7,360億円(1兆3,584億円・+27.8%)、うち資金利益8,823億円(6,907億円・+27.7%)、役務取引等利益5,581億円(4,616億円・+20.9%)、持分法による投資損益2,615億円(1,579億円・+65.6%)。経常利益は1兆1,179億円(+57.8%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は8,094億円(5,460億円・+48.2%)。与信関係費用は1,032億円(前年同期836億円)で、費用は196億円増えた。
→ 読み方:資金利益=貸出や有価証券の運用で受け取る利息から、預金などに支払う利息を差し引いた残り。このページが置いている「金利のある世界=利息収支が増える」という筋と、1Qの+27.7%は同じ向きの数字だった。ただし資金利益には貸出の利ざやのほか、貸出残高・預金コスト・有価証券運用も混ざっているので、内訳は次の決算資料で確認したい。与信関係費用も増えているが、粗利益の増加分(+3,776億円)と比べれば小さい。通期目標2.7兆円は5/15公表から変更なし、配当予想も年96円(中間48円・期末48円)で変更なしと短信に明記されている。

➡️ 決算の反応日(8/4)の終値は前日比▼2.7%だった
決算は8/3の16:00=引け後の開示なので、市場が値段をつけるのは翌8/4から。その8/4は3,567円→3,470円(▼2.7%)で、この日のTOPIXは+0.04%、銀行業指数は▼1.2%だった。そこから8/5 +2.0%・8/6 +0.9%・8/7 ▼0.3%と推移し、8/7の終値3,564円は開示日8/3の終値3,567円とほぼ同じ水準にある。
→ 記録として:進捗率30.0%の開示の翌日、終値は前日比▼2.7%だった。理由を開示だけから決めることはできないので、ここでは順番を事実として残しておく。

➡️ 大手4社の中で、週間騰落率は3番目だった(ただし決算日がそろっていない)
週間騰落率は、りそなHD+5.5%/みずほFG+3.4%/三菱UFJ▼0.2%/三井住友FG▼0.5%。ただし1Q決算の開示日はみずほ7/30・三井住友7/31・りそな7/31・三菱UFJ8/3とずれており、今週の騰落率だけを横に並べても比較の条件はそろっていない。3ヶ月(5/7→8/7)で見ると三菱UFJ+24.5%/みずほ+21.9%/三井住友+19.2%/りそな+15.1%。

➡️ 信用買い残が1週間で+28%
7/31申込時点の買い残は3,373万株(7/24時点の2,632万株から+741万株)。売り残は350万株→257万株へ減り、倍率は7.52倍→13.12倍になった。決算をはさんだ8月分はまだ公表されていない。参考として、3,373万株は8月の1日平均出来高(約4,380万株)の0.77日分にあたる。

② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし。本文の骨格(「金利のある世界」への回帰が利息収支の追い風になり、その逆回転が最大のリスク)に対して、1Qの資金利益+27.7%は同じ向きの数字だった。通期目標と配当予想が据え置かれた点も、本文が置いている前提のまま。開示の翌日に終値が前日比▼2.7%だった点は①に事実として記録し、翌週以降も追う。

③ 🔒 前に見ていた材料、その後

※ 太字の条件文は8/1に書いたまま・書き換えていません。「→」以下が今週足した事実です。
(a) 持ち越し分:日銀会合の翌営業日(8/3)の値動き
 → 8/3の終値は3,567円(前日3,571円から▼0.1%)。この日のTOPIXは▼1.1%。取引時間中は一時3,426円(▼4.1%)まで下げてから戻して引けた。
(d) 8/3〜8/7に、7/30の安値3,514円と7/31時点の25日線3,502円を終値で維持できるか
 → 終値は8/3 3,567円/8/4 3,470円/8/5 3,541円/8/6 3,574円/8/7 3,564円。8/4の終値はこの2つの水準を下回り、残る4日は上回った。取引時間中の安値では8/3 3,426円・8/4 3,444円・8/5 3,449円の3日が3,514円を下回っている。
(e) 1Q純利益が通期目標2.7兆円の25%前後に達するか
 → 1Q純利益は8,094億円で、進捗率は30.0%。前年同期は5,460億円で、前期の通期実績2兆4,272億円に対して22.5%だった。
(f) 信用買い残が減るか増えるか
 → 増えた。7/24時点の2,632万株から7/31時点は3,373万株(+28.2%)。売り残は350万株→257万株、倍率は7.52倍→13.12倍。

今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)
(g) 8/10(月)〜8/14の5営業日8/7時点の25日線3,562円と、決算の反応日8/4の終値3,470円(どちらも水準は8/7時点で固定して見る)に対して、各日の終値がどちら側にあるか
(h) 8/12ごろ公表の信用残(8/7申込分):7/31時点の買い残3,373万株・倍率13.12倍から、増えるか減るか
(i) 7月分の米CPI(8/12・日本時間21:30発表/東京市場で発表後の最初の取引日は8/13):8/12終値→8/13終値の1日で、この銘柄の騰落率とTOPIXの騰落率が何ポイント離れるか

④ 📅 次に見るもの——8/12 7月分の米CPI(東京市場で発表後の最初の取引日は8/13)・8/12ごろの信用残・9月の日銀会合・2Q決算(過去3年はいずれも11/14の引け後開示。うち2年は同日に通期目標と期末配当予想の修正も出している)。

前回(8/1)の記録

📌 今週の要点:7/27に上場来高値3,813円(取引時間中)を更新した直後に失速し、週間は▼4.9%(3,754円→3,571円)。同じ週のTOPIXは▼0.2%だが、銀行業指数は▼5.2%と、大手銀行がそろって売られた週だった。焦点だった7/31の日銀会合は政策金利1.0%で据え置き、会見では「利上げペースを速めることも十分あり得る」との発言があった。

① 新しく分かったこと

➡️ 先週の「押し目は3日で戻る」形は、今週は再現しなかった
7/27に上場来高値3,813円を付けた後、7/28▼3.6%(この日はTOPIXも▼2.5%)、7/30▼3.3%(この日のTOPIXは▼0.5%)と、7/28以降の4営業日のうち3日が下落。前回この欄に書いた「急落しても3日で取り返す」形は、今週については当てはまらなかった。

➡️ 下げているのは三菱UFJだけではない
大手銀行の週間騰落を並べると、りそなHD▼7.4%/みずほFG▼5.6%/三菱UFJ▼4.9%/三井住友FG▼4.9%。銀行業指数(▼5.2%)に沿った動きで、三菱UFJはこの4社の中では下落幅が小さい方だった。なお今週、三菱UFJの適時開示は0件で、同社固有の新しい開示材料は出ていない。

➡️ 今週、三菱UFJの外側で起きていた事実(日付つき)
7/30(日本時間未明):FRBが政策金利を5会合連続で据え置き(3人が利上げを主張して反対)。同日の米国株は大幅安(NYダウ1,153ドル安)
7/30:政府・日銀が3か月ぶりの為替介入(30日のNY市場・6〜7兆円規模との報道)。円は一時157円台まで5円程度急伸したのち、160円台後半へ戻した
7/31:日銀は政策金利1.0%で据え置き。6月に実施した利上げの効果を見極める判断。植田総裁は会見で「これまで以上に物価の上振れリスクを意識する必要」「利上げペースを速めることも十分あり得る」と発言。一方、展望リポートは物価の上振れを警戒しつつ、利上げの時期やペースは示さなかった
8/1:大手銀行が8月の住宅ローン固定金利を引き上げ(長期金利の上昇を反映)
→ 解釈:会合当日の7/31は+1.3%と反発しているので、「日銀の据え置きで売られた」という一本の説明にはならない。むしろ7/28・7/30と会合前に下げ、会合当日に戻した、という順番だった点は記録しておく。どちらの説明が正しいかは、この1週間だけでは判定できない。

② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし。本文の骨格(「金利のある世界」への回帰が利ざやの追い風になり、その逆回転が最大のリスク)を見直すべき材料は、今週の時点では確認できていない。政策金利は据え置きだが、6月の利上げの効果を見極める段階との説明であり、会見でも利上げペース加速の可能性に触れている。ただし①の通り「押し目の浅さ」は今週は確認できなかったので、次回以降も追う。

③ 🔒 前回条件の答え合わせ + 今週から凍結する条件

前回(7/26)に凍結した条件
(a) 7/30〜31の日銀会合——利上げ(または利上げ示唆)の有無と、その翌日の値動き
 → 前半=✅ 判定できた/後半=⏳ 持ち越し。利上げはなし(政策金利1.0%で据え置き)、利上げ時期の明示もなし。ただし会見では利上げペース加速の可能性に言及があった。会合当日7/31の株価は+1.3%(3,525円→3,571円)。条件の「その翌日の値動き」は翌営業日の8/3(月)にあたるため、その部分だけ次回に持ち越す。
(b) 8月上旬の1Q決算で、目標2.7兆円に対する進捗率が25%前後に乗っているか
 → ⏳ 未到来。今週この銘柄の適時開示は0件だった。過去3年の1Q決算短信の開示日は8/1(2023年)・8/1(2024年)・8/4(2025年)で、いずれも16:00の開示。
(c) 押し安値3,411円(7/17)を終値で維持できるか
 → ✅ 成立(7/27〜7/31の週内について)。この週の終値の最安は7/30の3,525円、取引時間中の安値も7/30の3,514円で、いずれも3,411円には届かなかった。

今週から凍結する条件(次回8/8に答え合わせ)
(d) 8/3(月)〜8/7:7/30の安値3,514円と、7/31時点の25日線3,502円(水準は7/31時点で固定して見る)を、終値で維持できるか
(e) 8月上旬の1Q決算:(b)と同じ基準で、通期目標2.7兆円に対する1Q純利益の進捗率が25%前後に達するか。参考として、前年同期(2025年8/4開示)の1Q純利益は5,460億円で、前期の通期実績2兆4,272億円に対して22.5%だった
(f) 8/5ごろ公表の信用残(7/31申込分):買い残は7/17の2,725万株から7/24は2,632万株へ減少(同期間に売り残は323万株→350万株へ増加、倍率は8.44倍→7.52倍)。今週の下げを受けて買い残がさらに減るか、増えるか

④ 📅 次に見るもの——8/3(月)=日銀会合を通過して最初の取引日・8月上旬(過去3年は8/1〜8/4)の1Q決算・8/5ごろの信用残・9月の日銀会合。

📅 これからの予定 — 三菱UFJ(8306)に関連するもの

未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。

7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見
東京が反応する日: 7/30(木)
7/30(木)★日銀 金融政策決定会合(この銘柄の最重要イベント)市場全体
結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
8月上旬三菱UFJ(8306) 1Q決算発表(予測日)自社・予測
過去2年は8/4・8/7の引け後開示(=反応は翌営業日)。会社が正式発表したら確定日に置き換えます
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
8/12(水)★米CPI(消費者物価・7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/13(木)
速報直近の動き — 三菱UFJ(8306)に関連するかもしれないニュース
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株価と出来事(過去75営業日・調整後終値) 2026-04-24 → 08-14

丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。

IR(会社発表) 業界・市場ニュース 思惑・材料ニュース 時系列の補足
出来事のくわしい一覧(8件・タップで開く)

出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™

終値(調整後)
3,686円
2026-08-14(前日比▼0.6%・TOPIX騰落率との差▼1.1pt)
上場来高値からの下落
▼3.3%
高値3,813円(2026/07/27・取引時間中)から
直近2日の値動き
8/13+2.9%8/14▼0.6%
直近2営業日の前日比
信用倍率
11.3倍
買い残3,429万株/売り残304万株(8/7公表・週次)

3つの視点で見る(2026-07-24時点)

ファンダメンタルズ

純利益 1.86兆円→2.43兆円(過去最高)→来期目標2.7兆円。源泉は国内金利の上昇=貸出と預金の利ざやの構造的な改善で、顧客部門の業務純益と米Morgan Stanleyの持分法益が両輪。配当は74円→96円へ+22円の大幅増配予想・自社株買い(取得→消却)も毎期継続。注意点は、銀行は業績「予想」でなく「目標」形式で開示すること——2.7兆円は約束ではなく目標値。

需給

信用買い残2,725万株は1日の出来高(約4,300万株)の0.7日分=無視できる水準。時価総額約42兆円・1日の売買代金1,000億円超の超大型株で、個人の信用需給が値段を動かす余地はほぼない。動かすのは金利(日銀・長期金利)と海外投資家の資金フロー。指数の中核銘柄なので、市場全体の急落日(7/17など)は一緒に下げる。

テクニカル

7/23・24と連日で上場来高値圏。いまの3,754円は25日線(3,427円)の+9.5%上と過熱気味の位置。確認は ①7/30〜31の日銀会合の結果と翌日の反応 ②押し安値3,411円(7/17)を守るか ③8月上旬の1Q決算 で。高値圏だけに、materialが出た時の振れは大きい。

※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。

1

なぜ、「稼げない」と言われた銀行株が10倍になったのか

一つの好材料で上がったのではありません。マイナス金利という長い冬を土台に、金利の復活(2024年3月)、利益の過去最高更新(2025〜2026年)、還元の大幅強化が順に重なりました。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。

土台マイナス金利の冬

金利ゼロの世界で、銀行は「構造不況業種」だった 〜2022年

  • 2016年からのマイナス金利政策で、銀行の本業(お金を集めて貸し、利ざやを取る)は利ざやそのものが消滅。「銀行株は買ってはいけない」が市場の常識になり、コロナ期の2020年には380円まで売られた
  • 当時の評価は解散価値の半分以下(PBR 0.4倍前後)・PER 7倍前後——「この会社の未来に期待しない」という値段が長く続いた
  • ただしこの間も、海外事業の拡大と米Morgan Stanleyへの出資(リーマン危機時の2008年に実行)が静かに利益を積んでいた。冬の間に蓄えた体力が、後の反転の燃料になる
きっかけ金利の復活

2024年3月、17年ぶりの利上げ——物語が反転する 2023〜24年に株価3倍

  • 2022年12月の日銀の長期金利上限引き上げを皮切りに、2024年3月にマイナス金利解除(17年ぶりの利上げ)。銀行の利ざやが「戻ってくる」ことが確定した
  • 株価は2022年の630円から2024年の1,869円へ——利益が本格的に増える前に、まず「物差し」が変わった(この構造は防衛株が予算決定で先に動いたのと同じ)
  • 以後、日銀の利上げが進むたびに「貸出金利は上がり、預金金利の上昇はそれより遅い」という利ざや拡大の方程式が効き続けている
二の矢利益が追いつく

2026年3月期、純利益2兆4,272億円——目標を3,000億円超上回る 期中に2回上振れ

  • 期初目標2.0兆円→11/14に2.1兆円へ上方修正(顧客部門の業務純益+500億円・Morgan Stanley持分法益の増加で経常+1,500億円と会社が説明)→着地は2兆4,272億円とさらに上回った
  • 「期待が先行しただけ」ではなく、利益の実体が期待を追い越してくるパターンが2期続いた——これが高値圏でも買いが続く最大の理由
  • EPSは160円→213円へ+33%。自社株買い(取得→消却)で分母の株数も毎期減っており、1株あたりの取り分が両側から増える構造
三の矢還元の宣言

2026年5月、目標2.7兆円+配当96円+自社株買い1,000億円 2日で+6.2%

  • 5/15(16:15・引け後)の本決算で、来期目標2.7兆円(前期比+11%)、年間配当96円予想(前期74円から+22円)、自社株買い上限1,000億円(発行済の0.40%・5/18〜6/30)を同時発表。中期経営計画の財務目標の修正も同日に出した
  • 翌営業日から5/18 +2.3%→5/19 +3.8%と2日で+6.2%。「増益・増配・自社株買い」の3点セットが素直に買われた
  • 配当96円はいまの株価でも利回り2.6%。「金利が上がっても銀行預金より株の配当」という個人の資金も下値を支える
増幅7月の加速

金利上昇の観測で、7月だけで+17%——上場来高値へ セクターごと最強

  • 7月に入り金利上昇・日銀の利上げ観測が強まると、銀行セクター全体(1ヶ月+13.7%・3ヶ月+33%で33業種トップ)に資金が集中。三菱UFJは7/13〜15の3日で+6.9%と先頭を走った
  • 7/17の市場全体の急落(TOPIX▼2.7%)で▼4.3%と押されたが、3日で取り返して7/23に上場来高値3,778円(取引時間中)
  • 半導体・AI関連が調整する中で受け皿になったのが金融——市場全体の資金の流れ(セクターローテーション)の主役になっている
たしかめ固有か地合いか

この株を動かしているのは「金利」——個別材料より政策 日銀が主役

  • 決算日(5/15→5/18-19で+6.2%)を除くと、大きく動いた日の背景はほぼ金利・日銀・米金利のニュース。個別の新製品や受注で動く銘柄ではない
  • 7/17(TOPIX▼2.7%の急落日)に▼4.3%=指数との連動も強い。時価総額約42兆円の指数中核銘柄なので、市場全体を動かすイベント(FOMC・日銀・雇用統計)がそのまま自分のイベントになる
  • つまりこの銘柄の分析は「会社を見る」より「金利を見る」比重が大きい。会社の実行力(目標達成・還元)は確認事項、金利の方向が主戦場——見るべき場所が明確なのが特徴
いまの位置
この10倍は「金利ある世界」への回帰という構造変化を、利益(1.86→2.43→目標2.7兆円)と物差し(PER 7倍→15.8倍)の両方が織り込んできた結果です。いまの3,754円は上場来高値圏——期待が実績に追い越された過去2期のパターンが続くかどうか、次の答えは7/30〜31の日銀会合と、8月上旬の1Q決算です
順番に注意 — この銘柄は「会社より金利・予想でなく目標」

① 開示は引け後16時台、反応は翌営業日
決算・目標修正は16:15〜16:30(引け後)が定例です。5/15の本決算の反応は翌営業日5/18から始まりました。決算当日の値動きだけ見ると読み違えます。

② 銀行は「予想」でなく「目標」を出す
相場環境の不確実性を理由に、業績予想の代わりに純利益の目標値を開示する形式です(短信に明記)。目標2.7兆円は約束ではない——ただし過去2期は目標を上回って着地しており、目標の「保守度」も込みで評価されているのが現在地です。

③ 最大の変数は日銀——個別分析より金利観測
利ざやの拡大が物語の心臓部なので、日銀会合(次回7/30〜31)と長期金利の水準がこの株の一級材料です。逆に言えば、利下げ・金融緩和への転換が示唆された瞬間に、物語の前提が反転します。

2

会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)

短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。三菱UFJフィナンシャル・グループは銀行(三菱UFJ銀行)・信託(三菱UFJ信託銀行)・証券(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)・カード(三菱UFJニコス)・消費者金融(アコム)などを束ねる国内最大の金融グループ。米Morgan Stanleyの大株主(持分法適用)でもある。東証プライム上場・3月決算。数字の出どころは決算短信・適時開示の実数です。

純利益
2兆4,272億
→ 目標 2兆7,000億
2026年3月期実績(過去最高) → 2027年3月期会社目標(+11%)
EPS(1株利益)
213.17円
→ 約237円
実績 → 目標2.7兆円÷期中平均株数での単純計算(アルミナ算出)
配当
74円
→ 予想 96円
+22円の大幅増配予想=いまの株価で利回り約2.6%
自社株買い
継続中
直近 1,000億円
取得→消却のサイクルを毎期実施(5/15決定・発行済の0.40%)

直近3年の歩みと、その中身(純利益)

  • 2025年3月期1兆8,629億円 ── 邦銀として初めて「純利益1.5兆円超え」を定着させた期。マイナス金利解除(2024年3月)後、最初の通期
  • 2026年3月期2兆4,272億円(過去最高) ── 期初目標2.0兆円→11月に2.1兆円へ修正→着地はさらに上。会社の説明は「顧客部門の堅調な業績+Morgan Stanleyに関わる持分法投資損益の増加」。2期連続で目標を大きく上回る着地
  • 2027年3月期・目標2兆7,000億円(+11%) ── 国内金利の上昇が続く前提での目標。中期経営計画の財務目標も同日(5/15)に上方修正した

「目標」形式の読み方 ── 銀行業は経済情勢・相場環境の不確実性が大きいため、業績予想の代わりに純利益の目標値を開示する(短信に明記)。過去2期は目標比+1,000億〜+3,000億円上振れており、市場は「目標=保守的な下限」として扱い始めている——この「上振れ前提」が株価に入り始めていること自体が、逆に振れた時のリスクでもある。

知っておきたい3つのこと

  • 1利益のエンジンは「利ざや」——金利と一心同体
    貸出金利は市場金利に連動して上がり、預金金利の引き上げはそれより遅い。この差(利ざや)が国内の膨大な貸出・預金残高に掛かるため、利上げ1回ごとに利益の土台が持ち上がる。逆に利下げ局面では同じ理屈で利益が削られる——この対称性がこの銘柄の本質。
  • 2Morgan Stanleyという「第二のエンジン」
    リーマン危機の2008年に出資した米Morgan Stanleyの持分法投資損益が利益の重要な柱(11月の上方修正の主因のひとつ)。米国の市況・金利にも利益が連動するということであり、分散でもあり、米国発のショックの受け口でもある。
  • 3注意点
    金利の逆回転——日銀が緩和方向に転じれば物語の前提ごと崩れる(最大リスク) ②景気後退時の与信費用——不況になれば貸倒引当金が利益を削る(銀行の宿命) ③目標形式——2.7兆円は予想でなく目標。市況次第で上にも下にも振れる ④株価は既に上場来高値圏・PER 15.8倍と、マイナス金利時代の物差し(7〜9倍)から大きく切り上がった水準にある。

この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)

日銀の利上げ路線が続く 利ざやの拡大(四半期の業務純益) 目標2.7兆円への進捗(8月上旬〜) 配当96円+自社株買いの実行 EPS約237円=PER 15.8倍の妥当性

この鎖のいちばん上(金利)が切れると、全部が連鎖的に崩れます。確認の場は日銀会合(次回7/30〜31)と四半期決算(引け後開示)。会社の実行力より政策の方向が上流にある——それがこの銘柄の構造です。

その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く

短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります

成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1金利のある世界

日銀の利上げ路線(少なくとも現状維持)が続く

  • 利ざや拡大が利益の第一エンジン。日銀会合・長期金利の水準・総裁発言がこの銘柄の一級材料
  • 崩れるサイン:日銀が利下げ・緩和方向へ転換/長期金利の急低下/「利上げ打ち止め」が市場コンセンサスになる(業績より先に、株価のPERに来る)
前提 2信用コストの平穏

景気が急悪化せず、貸倒れ(与信費用)が暴れない

  • 金利上昇は借り手の負担増でもある。倒産の増加は貸倒引当金として利益を直撃する——利上げの果実と副作用は同じ根から生える
  • 崩れるサイン:四半期決算で与信関係費用の急増/国内外の景気後退入り/不動産など特定セクターの信用不安
前提 3米国とMorgan Stanley

米国市況が崩れず、持分法益が柱であり続ける

  • Morgan Stanleyの業績(投資銀行・トレーディング)は米国の市況と金利に連動する。11月の上方修正の主因になったように、寄与は大きい
  • 崩れるサイン:米国発の金融ショック・市況急悪化/持分法投資損益の急減/急激な円高(海外利益の目減り)
遠い脅威構造変化

「銀行という業態」への長期の問い

  • フィンテック・ステーブルコインなど決済・送金の構造変化は、長期では銀行の手数料・預金基盤への問い。すぐ数字に出る話ではないが、預金の流出速度が変わる時代(スマホで即日移動)のリスク管理は新しいテーマ
  • 国内人口の減少=国内貸出の長期的な伸びの天井。海外・アジア事業とグループの非銀行事業(証券・カード・リース)がその答えになれるかが、10年単位の勝負どころ
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いまの株価は割高か、割安か(物差しが切り上がった話)

PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(銀行は業績「目標」形式のため、その時点の目標純利益を直近本決算の期中平均株数で割った換算EPSで計算)。

PERの推移(2025年5月の目標公表以降・日次) 2025-05 → 2026-08-14

計算:その日の終値 ÷(その時点で公表済みの目標純利益 ÷ 直近本決算の期中平均株式数)。目標2.0兆円(2025/5/15)→2.1兆円(11/14修正)→2.7兆円(2026/5/15)。開示はいずれも引け後のため翌営業日から分母に反映。

いま
PER 1110.2倍
2026-08-14(終値ベース・目標2.7兆円の換算EPS約237円)
この1年強の中央値
13.6倍
およそ11〜17倍のレンジで推移
マイナス金利の時代
582.7〜1144倍
「稼げない業種」としての定位置だった水準(参考・2010年代)

読み方 ── いまのPER 15.8倍は、マイナス金利時代の定位置(7〜9倍)から見れば大幅に切り上がった水準です。これは「金利ある世界では銀行の利益は構造的に増え続ける」という新しい前提を市場が受け入れた証拠——つまりこの株の割高・割安は、PERの数字そのものより「前提が生きているか」で決まります。過去2期は利益が目標を上回り続けたため、切り上がったPERが正当化されてきました。金利の方向が変わればこの物差しごと巻き戻る——それがこの銘柄の割安に見えない理由であり、リスクの形です。

いまの株価に織り込まれている前提

いまの3,754円(PER 15.8倍)は、「日銀の利上げ路線が続き、目標2.7兆円を(例年どおり)上回って達成し、増配・自社株買いも実行される」という前提を織り込んだ値段です。上場来高値圏だけに、前提の揺らぎには敏感になっています。

崩れる合図──日銀の緩和転換・利上げ打ち止め観測/1Q決算(8月上旬)で目標への進捗が明確に弱い/与信費用の急増。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。

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価格の地図——過去1年、どの値段で折り返してきたか

売買の指示はしません。過去1年の値動きが「どの価格帯で折り返してきたか」を、機械的なルールで塗った地図です。決めるのは、この地図を見たあなたです。

価格の地図(直近1年・調整後終値) 2025-07-29 → 2026-08-10

この地図には2種類の帯があります。面の帯(塗り)=10日以上離れて3回以上、値動きが折り返した価格帯。青の斜線=下げ止まりの記録がある支持帯、橙の点=上値を抑えられた記録がある抵抗帯枠の帯(囲み)=大きな値動きが始まった起点の値幅(青枠=上向き、橙枠=下向きの起点)。帯の位置は機械的なルールで引き、名前(支持帯・抵抗帯・上場来高値の帯など)は分かりやすさのための呼び名です——手で選んでいません。チャート上の①〜③は、下の説明と対応しています。各帯のPERは会社予想EPS 3.32円(2009年3月期・2009-02-06開示)で換算した参考値で、予想EPSが変わればPERの位置も動きます。

① 抵抗帯 2,301〜2,432円(8月〜10月に4回反落・PER693.1〜732.6倍)

接触4回:反落4・上抜け0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=08/15、09/10、09/26、10/21

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

② 支持帯 2,165〜2,265円(9月〜11月に3回下げ止まり・PER652.1〜682.3倍)

接触3回:下げ止まり3・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=09/03、10/17、11/05

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

③ 25年8月の大きな上げの起点の帯 2,021〜2,050円(PER608.7〜617.3倍)

2025-08-04から5営業日で+8.6%の上げが始まった日の値幅(3.5ATR)|形成後、価格はまだ一度もこの帯に戻っていません(再訪なし)

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 1,690〜1,762円(24年7月の大きな下げの起点・現換算PER509.0〜530.7倍)

5営業日で-28.8%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 1,967〜1,984円(25年7月の大きな上げの起点・現換算PER592.5〜597.4倍)

5営業日で+10.3%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 1,828〜1,896円(25年3月の大きな上げの起点・現換算PER550.6〜571.1倍)

5営業日で+11.3%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前)——ほか2本を開く
1,554〜1,599円(24年9月の大きな下げの起点・現換算PER467.9〜481.6倍)

5営業日で-9.8%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

1,607〜1,646円(24年3月の大きな下げの起点・現換算PER484.0〜495.6倍)

5営業日で-7.8%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

参考:PERの物差し(会社予想EPS 3.32円=2009年3月期予想・2009-02-06開示)

609倍=2,022円/610倍=2,025円/733倍=2,434円/833倍=2,766円/1056倍=3,506円/1057倍=3,509円。現値3,510円≒PER1057.2倍。

※PERは会社予想が変わればラインごと動きます。帯とPER水準が重なるのは結果であって、どちらかが根拠というわけではありません。

⚠ 過去に折り返した帯・値動きの起点の帯は約束ではありません。支持帯を終値で2日連続下回った場合は、その帯の下げ止まり記録が崩れたものとして、次の開示と市場全体の地合いを確認します。帯のルール=面の帯:10日以上離れた接触3回以上・幅は接触価格±0.25ATR/枠の帯:直前5日の終値最安(最高)の日から5営業日以内に3.0ATR以上動いた日の値幅(値動きの大きい順に各方向3本まで・今回ほかに3本の起点を省略)。この帯は毎週、同じルールで機械的に引き直します。

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テクニカルと需給の現在地

下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。

下値の目安とサイン(日足75本) 〜2026-08-14

↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。

━ 青い線=25日線(3,427円)5月の決算以降ずっと上をキープ。いまの3,754円は線の+9.5%上=やや過熱気味の位置
━ 赤い点線=押し安値(3,411円・7/17)市場全体の急落日につけた直近の押し。ここを終値で割ると7月の急伸が「行き過ぎ」だったことになる
━ 灰色の点線=年初来安値(2,517円・1/5)今年の出発点。ここまでの下げは「金利の物語の崩壊」を意味する(現値から▼33%・強い警戒)
上値の節=なし(上場来高値圏)7/23の3,778円の上に過去の売り物(しこり)は存在しない。上値の節がない代わりに、materialが崩れた時の下値も節が薄いのが高値圏の性質
200日線は2,788円長期トレンドの物差し。大きく上に離れており、長期の上昇トレンドは明確(フル指標版で確認できます)

信用残の1年

信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移

信用残(週次)と売買代金 2025-07 → 2026-08-14

左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。

━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)いま2,725万株(7/17公表)——大きく見えるが、1日の出来高約4,300万株の0.7日分にすぎない。個人の信用取引がこの株の値段を動かす余地はほぼない
━ 青い線=信用売り残(あとで買い戻す予約)323万株・倍率8.4倍。これも規模として中立。この銘柄の需給の主役は海外投資家と機関の資金フローで、信用残は参考程度
棒グラフ=売買代金1日1,000億円超(直近60日平均・約1,332億円)と国内最大級の流動性。時価総額 約42兆円——どれだけ大きな注文でも吸収する板の厚さが、機関投資家の「銀行セクターの入り口」であり続ける理由

まとめ ── トレンドは上場来高値圏で明確に上向き。ただし25日線からの乖離はやや過熱気味で、需給よりも7/30〜31の日銀会合という「材料」が次の方向を決める局面。全体の結論は最終章「総合判断」へ。

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総合判断と、今後の注目点

ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:純利益過去最高・目標2.7兆円・増配96円と、金利上昇の果実が実績で出続けている/需給:信用残は無視できる規模・主役は金利と海外資金/テクニカル:上場来高値圏・25日線からやや過熱。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。

✅ 続伸が「本物」と確認できるサイン(上向き)

  • 7/30〜31の日銀会合で利上げ路線の継続が確認され、翌営業日に崩れない
  • 8月上旬の1Q決算で目標2.7兆円への進捗が25%前後に乗っている(過去2期は上振れ着地が続いた)
  • 与信関係費用が平穏のまま(貸倒れの急増がない)
  • 押し安値3,411円(7/17)を保ったまま高値を更新し続ける

⚠ 調整・警戒のサイン(下向き)

  • 日銀の緩和転換・利上げ打ち止め観測——この銘柄の物語の心臓部が止まる(最大リスク・業績より先に株価に来る)
  • 押し安値3,411円(7/17)を終値で割り込む——7月の急伸の巻き戻し入り
  • 1Q決算で進捗の弱さ・与信費用の増加が見える
  • 米国市況の急悪化(Morgan Stanley経由で利益直撃)・急激な円高
  • 年初来安値2,517円(1/5)方向への深押しは「物語の崩壊」シグナル(強い警戒)

📅 次に見るカレンダー

  • 7/30〜31:日銀金融政策決定会合──この銘柄の最重要イベント。結果は31日昼ごろ・総裁会見15:30
  • 8月上旬:第1四半期決算──目標2.7兆円への初回進捗(過去2年は8/4・8/7の引け後開示→反応は翌営業日。確定日は会社発表で更新)
  • 随時:長期金利の水準・日銀関係者の発言・米金利(FOMC 7/30)
  • 11月中旬:第2四半期決算(前年は11/14)——過去2年はこのタイミングで目標上方修正・増配が出た「本命の中間決算」
  • 毎営業日:自社株買いの進捗(月初に取得状況を開示)

🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — 三菱UFJ(8306)

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出典・参考資料

このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。

出典をすべて見る(タップで開く)

三菱UFJ FGの適時開示(一次情報)

  • 2025/5/15 2025年3月期 決算短信──純利益1兆8,629億円・2026年3月期目標2.0兆円(「業績予想に代えて目標値を記載」の形式説明含む)の出典
  • 2025/11/14 通期業績目標の修正および期末配当予想の修正──目標2.0兆→2.1兆円・修正理由(顧客部門の業務純益+500億円・Morgan Stanley持分法投資損益の増加等で経常+1,500億円)・増配74円の出典
  • 2025/11/14 自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ
  • 2026/5/15 2026年3月期 決算短信──純利益2兆4,272億円(過去最高)・EPS 213.17円・2027年3月期目標2.7兆円の出典
  • 2026/5/15 中期経営計画における財務目標の修正について/剰余金の配当に関するお知らせ(96円予想)/自己株式取得に係る事項の決定(上限4,500万株・1,000億円・発行済の0.40%・2026/5/18〜6/30)
  • 毎月初 自己株式の取得状況に関するお知らせ──取得→消却サイクルの進捗の出典
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ 公式サイト(決算短信・開示資料の原本は公式サイトIRページから)

データの出典

  • 株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX・銀行業種指数:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース
  • PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(銀行の「目標」形式に伴うEPS換算方法は第3章に記載)
  • マイナス金利時代のPER・PBR水準:当時の市場データに基づく参考値
  • 開示の時刻(16:15等):適時開示の公表時刻の実データ(「翌営業日に反応」の判定に使用)

決算数値は適時開示の実数。目標値は会社公表の目標であり、業績予想ではありません。

このページの約束:①嘘を書かない ②煽らない ③外れる条件(見直しのサイン)を必ず書く ④どこにも誘導しない。「上がる/下がる」は言い切らず、しくみ・事実・見直しの条件・見ておく場所だけをお伝えします。