銘柄レポート🔖 毎週土曜更新

スカパーJSAT(9412)株価分析 情報・通信業

「衛星放送の会社」が、防衛省の衛星コンステレーション事業を落札し、SpaceXと打上げ契約を結ぶ「国防インフラの会社」に化けた。株価は2年で約9倍の4,720円(取引時間中)まで駆け上がり、そこから2ヶ月で▼53%の2,213円。
物語は本物か、値段だけが走ったのか——急騰と清算の構造を、この1ページで整理する。

スカパーJSATの今と見どころ📊 株価データ:2026-08-14終値(毎日夜更新)
✍ 見立て・本文:2026-08-01執筆(週1+イベント時更新)
次回の本文更新:8/15(土)ごろ
30秒だけの人へ
  • アジア最大級の衛星通信会社(宇宙事業)と、衛星放送「スカパー!」(メディア事業)の2本柱。長く340〜580円の静かな配当株だったが、防衛・宇宙が国策になった2024年から評価が一変——防衛省の衛星コンステレーション整備・運営事業を落札(2025/12)、SpaceXと次世代衛星の打上げ契約、政府・防衛省向け衛星データ受注が続き、株価は2年で約9倍の4,720円(5/27・取引時間中)へ。
  • そこから2ヶ月半で▼50.5%の2,335円(8/7終値)。6/1の▼11.6%(TOPIX▼0.4%の日)を起点に、AI・宇宙テーマ全体の調整と重なって清算が続き、7/29には年初来安値2,007円(取引時間中)。ただしこの間、事業のニュースに悪材料はない——値段が先に走り、値段だけが戻ってきた形。8/5(水)の1Q決算は営業利益+36.0%・純利益+49.6%で通期予想は据え置き、当日終値は前日比+12.9%の2,500円だった。業績は営業353億円(+28%)・今期も増益予想・3期連続増配(38→42→48円)と堅調。
  • 高値のPERは58倍(当時の予想EPS基準)→いま24.5倍。焦点だった8/5(水)の1Q決算=防衛・宇宙の受注が利益になるスピードの確認は、営業利益+36.0%・純利益+49.6%・通期予想据え置きという実績になった。次の焦点は8月末ごろの防衛省2027年度概算要求。株価の物差しは年初来安値2,007円(7/29)と、第2波の起点2,325円(2/3)。
いまの状態
業績売上1,276億円・営業353億円(+28%)・純利233億円(前期実績)。今期予想は営業390億円・純利270億円・配当48円と増益増配で、8/5の1Q決算でも据え置き。宇宙事業が利益の約6割(区分変更後の前期実績で宇宙230.6億円・メディア129.9億円)、メディア事業も増益。1Qは営業108.9億円(+36.0%)・純利82.3億円(+49.6%)=通期予想に対し27.9%・30.5%。次の答え合わせは11月上旬ごろの2Q決算 株価の流れ2/4の上方修正(場中+11%)→4/28の本決算(+7.3%)→5/27上場来高値4,720円→6/1から清算局面→7/29に年初来安値2,007円→8/5の1Q決算当日は+12.9%の2,500円→8/7終値2,335円(高値比▼50.5%) 需給信用買い残349.3万株=直近5営業日の平均出来高(445万株)の約0.8日分・倍率6.4倍(7/31時点)。下げが続いた7月も買い残はほぼ横ばいで、急騰期の買い在庫が戻り売りの圧力として残る 割安度予想PER 24.5倍(高値時58倍)。「国防インフラ企業」の物差しがどこで落ち着くかを市場が探している途中
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📝 今週なにが変わったか 8/8更新

📌 今週の要点:週間で+11.1%(2,102円→2,335円・同期間のTOPIXは+1.8%)。8/5(水)14:00に1Q決算が開示され、当日は高値引けの2,500円(前日比+12.9%)。翌8/6は2,242円(▼10.3%)、8/7は2,335円で週を終えた。1Qは営業利益108.9億円(+36.0%)・純利益82.3億円(+49.6%)で、通期予想は据え置き(「修正の有無:無」)。

① 新しく分かったこと

➡️ 1Q決算(8/5・14:00開示)——増収増益で、通期予想は変えていない
営業収益333.9億円(+12.0%)・営業利益108.9億円(+36.0%)・経常利益113.7億円(+38.3%)・純利益82.3億円(+49.6%)。EBITDAは147億円(前年同期比+29億円)。通期予想(営業収益1,350億円・営業利益390億円・純利益270億円・年間配当48円)は4/28公表分から変更なしと短信に明記されている。

➡️ 宇宙事業——「衛星コンステレーション整備・運営等事業」が当期から動き出したと短信に書かれた
短信は「当期より開始した衛星コンステレーションの整備・運営等事業を含む安全保障領域の取引拡大により、スペースインテリジェンス事業は22億円増収」と記載。グローバル・モバイル分野の+9億円等も加わり、宇宙事業は営業収益175億円(+20.7%)・営業利益64.3億円(+21.8%)。
→ 補足:当1Qから組織変更があり、従来「宇宙事業」に入れていた映像ネットワーク関連サービスが「メディア事業」へ移った(前年同期の数字も新区分に組み替え済み)。セグメントの数字を前期までの開示と直接つなぐことはできない。

➡️ 1Qの利益の伸びは、メディア事業のほうが大きかった
メディア事業の営業利益は46.9億円で+59.3%。伸び率は宇宙事業(+21.8%)を上回った。会社が挙げた要因は、減価償却費の減少・カスタマーセンター費用の減少という定常的な費用低減に加え、「ドイツ ブンデスリーガ」の放送・配信終了とコネクテッドTV事業化検証の終了に伴う一過性の費用減少。一方「スカパー!」の加入件数は1Qで4.0万件の純減、累計241.4万件(前年同期の累計を16.9万件下回る)。
→ 解釈:1Qの営業利益はセグメント合算で宇宙64.3億円・メディア46.9億円。会社自身が一過性の費用減少を要因に挙げている以上、この伸び率がそのまま続く前提では読めない。

➡️ 8/3、QPS研究所の小型SAR衛星の保守運用を5機追加受託(計8機へ)
これまで3機を約3年運用してきた実績を受けたもの、と会社は説明している。取引条件・金額は開示されていない。

➡️ 需給:信用買い残は7/31時点で349.3万株(前週から+0.9万株)
売り残54.4万株・信用倍率6.42倍(前週は買い348.3万株・売り54.3万株・6.41倍)。買い残のピークは7/10の368.4万株で、そこから5.2%減った水準。7/17以降は347.8万株→348.3万株→349.3万株と横ばいが続いている。

② 見立ては変わったか → 🚩 要検討。決算の中身は本文の見立て(事業側の材料は崩れていない/値段が先に走った局面)と矛盾していない。ただし本文の「宇宙事業が利益の3分の2」はセグメント区分変更前の前期実績にもとづく表現で、新区分の1Qでは営業利益の内訳が宇宙64.3億円・メディア46.9億円になっている。区分変更をどう反映するかは次回の本文更新で検討が要る。本文の見立ては今回は変更していない。

③ 🔒 前に見ていた材料、その後(8/1に書いたまま・書き換えていません)

(d) 8/5予定の1Q決算で、通期予想(営業利益390億円・純利益270億円)に対する1Qの進捗率 → 営業利益108.89億円で進捗27.9%、純利益82.26億円で進捗30.5%。前年1Qの同じ計算(26.0%・26.2%)と並べると、営業で1.9ポイント、純利益で4.3ポイント上の位置にある。8/1に置いた単純当てはめの目安(営業約101億円・純利約71億円)に対しては、営業で約8億円、純利益で約11億円上。通期予想は据え置かれた
(e) 決算翌日8/6(木)の終値で、年初来安値2,007円(7/29)を下回っていないか → 8/6終値は2,242円。2,007円は下回っていない。ただし同日は前日比▼10.3%(同日のTOPIXは+0.2%)で、決算当日8/5の終値2,500円からは258円下げた
(f) 8/4(火)ごろ公表の7/31時点の信用買い残が348.3万株から減るか → 349.3万株で、前週から0.9万株増えた。売り残は54.4万株(前週54.3万株)、倍率6.42倍

なお本文が株価の物差しとして置いた第2波の起点2,325円(2/3終値)については、8/5終値2,500円と8/7終値2,335円がこれを上回り、8/6終値2,242円は下回った。8/5終値2,500円は、終値2,500円以上としては7/10(2,530円)以来。

🔒 今週からの観察ポイント(あとから書き換えず、翌週に事実と突き合わせます)

(g) 決算後の株価が落ち着く位置——8/5終値2,500円と8/7終値2,335円のあいだで、翌週の終値がどのあたりに置かれるか。本文の物差し2,325円(2/3終値)との上下関係も併せて見る
(h) 8/12(水)ごろ公表の8/7時点の信用買い残(7/31時点349.3万株・売り残54.4万株)——決算をまたいだ週に、買い在庫と売り建てがどう動いたか
(i) 8月末ごろの防衛省2027年度概算要求で、衛星コンステレーション関連の予算がどう記されるか。1Qの短信が「当期より開始した」と書いた事業の、次の年度の輪郭にあたる

④ 📅 次に見るもの——8/12(水)ごろの信用残8/28(金)11:00 CFO登壇の会社説明会(日経・東証IRフェア2026/8/6開示)・8月末ごろの防衛省2027年度概算要求11月上旬ごろの2Q決算(過去2年は11/5・11/6の14:00開示)。

前回(8/1)の記録
📝 8/1時点の記録

📌 今週の要点:週間で▼5.0%(2,213円→2,102円・同期間のTOPIXは▼0.2%)。7/29に▼6.1%の下落があり、取引時間中に年初来安値2,007円を更新。前回凍結した「2,180円を終値で維持できるか」は割れた。今週も業績に関わる開示は出ておらず、答え合わせの本番である1Q決算は8/5(水)の予定

① 新しく分かったこと

➡️ 1Q決算の予定日が8/5(水)と分かった
前回は「8月上旬」までしか絞れていなかった。前年の1Q開示は8/6の14:00で、発表後も取引時間が2時間残る形だった(今年も同じ時刻とは限らない)。

➡️ 7/29の下落に、自社発の公表材料は見当たらない
同日TOPIXは+0.3%だったのに対し9412は▼6.1%。同じ宇宙関連のアストロスケール(186A)も同日▼9.8%だった。今週の適時開示は7/31の「Scope1・2のカーボンニュートラル実現」(ESG)だけで、業績に関わる開示はゼロ。同日にはSpaceX関連商品の売り急ぎを伝える報道(Bloomberg・7/29)も出ているが、値動きとの因果は確かめられていない。
→ 解釈:先週に続き、自社固有の悪材料は確認できていない。ただし翌7/30・7/31にアストロスケールが下げ幅をほぼ戻した(週間▼1.4%)のに対し、9412の戻りは鈍かった(週間▼5.0%)。

➡️ 事業側の動き——「だいち4号」を使った新サービス
7/28、ゼンリン・日本工営と共同で、衛星データ基盤「LIANA」に「だいち4号」を活用した新サービスプランの提供を開始した。

➡️ 需給:信用買い残は、下落局面で減るどころか増えている
信用買い残は、株価が4,470円だった5/29時点で319.5万株7/10に368.4万株まで積み上がり、7/24時点で348.3万株(前週比+0.5万株)。株価が半値以下になった間も、買い残は高値圏の水準を上回ったままだ。売り残は同期間に10.9万株→54.3万株へ増え、信用倍率は29.2倍→6.41倍に低下している(倍率低下の主因は売り残の増加)。

② 見立ては変わったか → 🚩 要検討。「業績に関わる悪材料は出ていない」という前提は今週も崩れていない。ただし本文が下値の物差しとして置いた2,180円は7/28から4営業日連続で終値割れとなり、年初来安値も2,007円に更新された。物差しの置き方は次回の本文更新で見直しが要る。本文の見立ては今回は変更していない。

③ 🔒 前回条件の答え合わせ

(a) 8月上旬の1Q決算で宇宙事業の増益と通期進捗を確認 → ⏳進行中予定日が8/5(水)と判明(前回は「8月上旬」までしか分からなかった)
(b) 直近安値2,180円(7/24の取引時間中の安値)を終値で維持できるか → ❌未達。7/28終値2,173円・7/29終値2,040円・7/30終値2,048円・7/31終値2,102円と4営業日連続で下回り、取引時間中には2,007円(年初来安値)を付けた
(c) 第2波の起点2,325円(2/3終値)を回復できるか → ❌未達。週間の終値高値は7/27の2,216円、取引時間中の高値でも7/27の2,228円で、いずれも届いていない

🔒 今週から凍結する確認条件

(d) 8/5(水)予定の1Q決算で、通期予想(営業利益390億円・純利益270億円)に対する1Qの進捗率。前年1Qは営業利益80.1億円・純利益55.0億円で、当時の通期予想(営業利益308億円・純利益210億円)に対し26.0%・26.2%だった。同じ進捗率を今期予想に当てはめると営業利益約101億円・純利益約71億円——季節性や期ずれを考慮しない単純な当てはめなので、あくまで読む位置の目安
(e) 決算翌日8/6(木)の終値で、年初来安値2,007円(7/29)を下回っていないか
(f) 8/4(火)ごろ公表の7/31時点の信用買い残が348.3万株から減るか——買い在庫の整理が進んだかを見る材料のひとつ

④ 📅 次に見るもの——8/5(水)予定の1Q決算(前年は14:00開示)・8/4(火)ごろの信用残8月末ごろの防衛省2027年度概算要求(衛星コンステレーション関連予算の定点)。

📅 これからの予定 — スカパーJSAT(9412)に関連するもの

未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。

7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見
東京が反応する日: 7/30(木)
7/30(木)★日銀 金融政策決定会合市場全体
結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
8月上旬スカパーJSAT(9412) 1Q決算発表(予測日)自社・予測
過去2年は8/6・8/7の14:00(場中)開示=反応は当日から。会社が正式発表したら確定日に置き換えます
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
8/12(水)★米CPI(消費者物価・7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/13(木)
8月末ごろ防衛省 概算要求(2027年度予算・例年8月末)防衛シグナル
衛星コンステレーション・宇宙関連予算の要求額が出る。この会社の防衛事業の追い風の定点
速報直近の動き — スカパーJSAT(9412)に関連するかもしれないニュース
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株価と出来事(過去75営業日・調整後終値) 2026-04-24 → 08-14

丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。

IR(会社発表) 業界・市場ニュース 思惑・材料ニュース 時系列の補足
出来事のくわしい一覧(9件・タップで開く)

出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™

終値(調整後)
2,351円
2026-08-14(前日比▼1.1%・TOPIX騰落率との差▼1.6pt)
上場来高値からの下落
▼50.2%
高値4,720円(2026/05/27・取引時間中)から
直近2日の値動き
8/13▼0.6%8/14▼1.1%
直近2営業日の前日比
信用倍率
7.7倍
買い残403万株/売り残53万株(8/7公表・週次)

3つの視点で見る(2026-07-24時点)

ファンダメンタルズ

営業353億円(+28%)・純利233億円で、今期も純利270億円・配当48円と増益増配予想。利益の約6割は宇宙事業(衛星通信)で、防衛省の衛星コンステレーション事業・政府衛星データ受注・SpaceXとの打上げ契約と、国策の受注が積み上がっている。意外な事実として、縮小均衡と見られがちなメディア事業(スカパー!)も増益が続いている——2026年3月期の営業利益は区分変更後で130億円(従来区分では前々期63億円→前期119億円)。注意点は、防衛の大型案件はSPC経由・長期契約で利益への反映がゆっくりなこと。

需給

信用買い残348万株は1日の出来高(約304万株)の1.1日分・倍率6.7倍。5月の急騰期に積み上がった買い在庫が高値圏に残っており、戻り局面の売り圧力になりやすい。時価総額約6,588億円・売買代金は急騰期の数十億円から落ち着いてきた。

テクニカル

5/27の上場来高値4,720円(取引時間中)を天井に、2ヶ月で▼53%の下落トレンド。いまの2,213円は25日線(2,577円)の-14.1%下。第2波の起点2,325円(2/3終値)を下回った=急騰第2波を全部返した位置。確認は ①直近安値2,180円を守るか ②2,325円を回復できるか ③8月上旬の1Q決算 で。

※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。

1

なぜ、衛星放送の会社が9倍になり、2ヶ月で半分になったのか

一つの好材料で上がったのではありません。静かな配当株の時代を土台に、防衛・宇宙の国策化(2024年〜)、受注ラッシュ(2025年後半)、増益決算(2026年4月)が順に重なり——最後は値段だけが実力の先を走りました。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。

土台静かな配当株

340〜580円のレンジに置かれていた「アジア最大級の衛星会社」 2020〜2022年

  • JSAT(衛星通信)とスカパー(衛星放送)が2008年に統合した会社。衛星通信はアジア最大級の規模を持つが、市場の見方は「衛星放送=縮小する古いメディア」が支配的だった
  • 2020〜2022年の株価は340〜580円。配当利回りで持たれる典型的なバリュー株で、時価総額は1,500億円前後
  • この間も通信衛星のインフラ・運用ノウハウ・政府との関係という「国策に乗るための資産」は静かに揃っていた
きっかけ宇宙の国策化

2024年、防衛・宇宙が国の重点投資分野になる 2年で株価3倍

  • 防衛費GDP比2%路線・宇宙戦略基金・衛星コンステレーション構想——「宇宙=安全保障インフラ」という国の方針転換が、この会社の位置づけを変えた
  • 株価は2023年の465円から2025年には2,200円へ。利益の伸び(純利170億→190億円台)より、物差しの変化(テーマ化)が先に効いた
  • JAXA宇宙戦略基金の量子暗号通信実証への参画(2025/8)、政府衛星データ受注など、国のプロジェクトの「指名」が続いたのがこの段階
二の矢受注ラッシュ

2025年12月、防衛省コンステレーション事業を落札——物語が実弾に変わる SpaceXとも契約

  • 11/4に防衛省向け地球観測衛星(光学)データ提供を約90億円で受注、12/8にSpaceXと次世代衛星JSAT-31/32の打上げ契約、そして12/25に防衛省「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を落札——年末に大型案件が立て続けに決まった
  • 年明けも、受託SPCの設立(1/27)→防衛省と事業契約締結(2/20)、量子暗号のSpeQtral社への資本参加(1/28)と、物語の部品が毎月増えた
  • 2/4(14:00・場中)には業績の上方修正+増配を発表し当日+11%——ここから急騰の第2波が始まった(2/3終値2,325円が起点)
三の矢増益決算

4/28、営業+28%の本決算——場中開示で当日+7.3% 5月に+30%超

  • 4/28(14:00・場中)の本決算は営業353億円(+28%)・純利233億円、今期も増益予想・配当は38→42→48円へ3期連続増配。場中開示のため当日に+7.3%で即反応した
  • 意外だったのはメディア事業(スカパー!)の営業利益が63億→119億円へほぼ倍増したこと——「縮小する古いメディア」という前提が数字で裏切られた
  • 決算後も買いが続き、5月だけで+30%超。5/27に上場来高値4,720円(取引時間中)——2年で約9倍の頂点
増幅清算の2ヶ月

6/1、▼11.6%——材料のない日に、天井が確定した 2ヶ月で▼53%

  • 6/1、自社の開示が何もない日に▼11.6%(TOPIXは▼0.4%)。同じ日にQPS研究所▼13.9%・アストロスケール▼14.2%・Synspective▼11.3%・ispace▼12.4%と宇宙セクターがそろって急落——個別の悪材料ではなく、セクター全体からの資金流出だった
  • タイミングの鍵はSpaceXの米国上場(6/12・史上最大のIPO)。ピークの5/26-27はその約2週間前で、それまでの急騰自体がSpaceX上場への期待による宇宙セクター全体の盛り上がりだった——上場が近づくと、SpaceX株の購入資金を捻出する換金売りや「イベント前の手仕舞い」でセクターから資金が抜けたとみられる
  • 高値時のPERは約58倍(当時の予想EPS 81円基準)と値段が実力の先を走っていたため、剥落も速かった。7月はAI・半導体全体の調整とも重なり、7/24に2,213円——第2波の起点2,325円を下回り、2月からの急騰を全部返した
たしかめ固有か地合いか

上げは自社の開示の日、下げは開示のない日 TOPIXと比較

  • 上げは固有——2/4の+11%(上方修正・場中開示)、4/28の+7.3%(決算・場中開示)。開示が出た当日に動くのがこの銘柄の癖(14:00開示のため)
  • 下げの起点は「セクター同時」——6/1の▼11.6%はTOPIX▼0.4%の日に、宇宙5銘柄が同時に2桁下落。個別でなくセクター単位の資金移動(SpaceX上場前の換金・手仕舞い売りとみられる)で、下げの原因が自社の事業にないことがこのデータから分かる
  • つまりこの銘柄は「開示の日に跳ね、開示のない期間に垂れる」——急騰銘柄に共通する時間の使い方をしている。開示カレンダー(8月上旬の1Q)が次の分岐点になる
いまの位置
この2年の上昇は「衛星放送の会社」から「国防インフラの会社」への再定義そのものでした。物語の部品(防衛省事業・SpaceX契約・増益増配)は無傷のまま、値段だけが▼53%の清算を受けた——いまの2,213円は急騰第2波を全部返した位置です。次の答えは8月上旬の1Q決算——防衛・宇宙の受注が利益になるスピードの確認です
順番に注意 — この銘柄は「開示は場中・利益はゆっくり・値段は先走る」

① 開示は14:00、反応は当日から
決算・修正は14:00(取引時間中)が定例です。2/4の上方修正も4/28の本決算も、発表の当日に大きく動きました。引け後開示の会社(翌日反応)とは時間の流れが違います。

② 防衛の大型受注は「すぐ利益」にならない
防衛省のコンステレーション事業は受託SPC(特別目的会社)を通じた長期の整備・運営契約で、売上・利益への反映は年単位でゆっくり進みます。「落札=来期の利益急増」と読むと期待の時間軸を間違えます——高値のPER58倍はまさにその読み違いの値段でした。

③ 2本柱の中身を分けて見る
宇宙事業(利益の約6割・成長の主役)とメディア事業(スカパー!・意外な増益)は性質が別物です。決算では宇宙事業の増益率と、メディア事業の増益が続くかを分けて確認するのがこの銘柄の読み方です。

2

会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)

短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。スカパーJSATは宇宙事業(通信衛星の保有・運用=アジア最大級、政府・放送局・企業向けの衛星通信、衛星データ提供)とメディア事業(衛星多チャンネル放送「スカパー!」)の2本柱。東証プライム上場・3月決算。数字の出どころは決算短信・適時開示の実数です。

売上高
1,276億
→ 宇宙658億/メディア679億
2026年3月期実績(+3%)。セグメントほぼ半々(区分変更後。従来区分では宇宙698億/メディア643億)
営業利益
353億
宇宙231億/メディア130億
実績+28%。利益は宇宙が約6割、メディアは130億(いずれも区分変更後)
純利益
233億
→ 予想 270億
実績EPS 82.25円 → 予想EPS 95.26円(+16%)
配当
42円
→ 予想 48円
38→42→48円と3期連続増配。利回り約2.2%

受注の1年(すべて適時開示ベース)

  • 2025/7〜11政府・防衛省の衛星データ案件が続く ── 政府機関向けSAR衛星データ提供(7/31)・防衛省向け光学衛星データ約90億円(11/4)・JAXA「だいち4号」観測データ事業者に選定(11/27)
  • 2025/12SpaceXと打上げ契約+防衛省コンステレーション落札 ── 次世代衛星JSAT-31/32の打上げをSpaceXと契約(12/8)。12/25に防衛省「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を落札——この会社の防衛シフトを決定づけた案件
  • 2026/1〜3体制づくり ── 受託SPCの設立(1/27)→防衛省と事業契約締結(2/20)。量子暗号のSpeQtral社へ資本業務提携(1/28)・熱赤外衛星データの国内販売開始(2/2)

受注→利益の時間差に注意 ── 防衛の大型案件は長期契約・SPC経由のため、受注の発表と利益への反映に年単位のズレがある。FY27予想(純利270億円・+16%)は現実的な歩幅で、受注ラッシュがフルに数字になるのはさらに先——「物語の在庫」は厚いが、換金はゆっくりというのがこの会社の現在地(各数値は適時開示より。下の出典参照)。

知っておきたい3つのこと

  • 1「スカパー!」は縮む前提が数字で裏切られた
    メディア事業の営業利益は63億→119億円へほぼ倍増(いずれも従来区分)。加入者の減少傾向は続くが、コスト構造の見直しと配信への展開で利益はむしろ増えている。「衛星放送=衰退」の先入観で全体を見ると、この会社の半分を読み違える。
  • 2SpaceXは「敵」であり「取引先」でもある
    Starlink(低軌道コンステレーション)は静止衛星通信の一部需要を奪う競合。一方でこの会社はSpaceXのロケットで自社衛星を打ち上げる契約を結び、低軌道側でも防衛省コンステレーション事業を取った——「破壊される側」から「新旧両方に張る側」へ回ったのがこの2年の変化。
  • 3注意点
    値段の先走り——高値4,720円はPER58倍で、増益ペース(+16%)との乖離が大きかった(今も23.2倍と安くはない) ②衛星の寿命・打上げ失敗リスク——資産の中核が宇宙空間にある事業の宿命 ③防衛予算依存の増加——国策の追い風は政権・予算次第で風向きが変わる ④信用買い残348万株が戻り売り圧力として残る。

この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)

防衛・宇宙の国策予算 受注の積み上がり(開示で確認) 宇宙事業の増益(8月上旬〜) 純利270億円の達成 EPS 95.26円=PER 23.2倍の妥当性

この鎖のどこかが切れると、下の「前提」が崩れます。確認の場は四半期決算(14:00場中開示)と受注の適時開示。受注は先に見えるぶん、鎖の弱点は「利益化のスピード」への期待の置き方に集中しているのがこの銘柄の特徴です。

その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く

短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります

成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1国策の継続

防衛・宇宙予算の拡大路線と、この会社への「指名」が続く

  • コンステレーション事業・衛星データ・量子暗号と、国のプロジェクトの受け皿であり続けることが成長の第一条件。8月末の防衛省概算要求が毎年の定点
  • 崩れるサイン:防衛・宇宙予算の縮小/大型案件の競合他社への流出/コンステレーション事業の計画変更・遅延
前提 2利益化の実行

受注が計画どおり売上・利益に変わっていく

  • FY27予想は純利270億円(+16%)。宇宙事業の増益が計画どおり出るか、四半期ごとに確認できる
  • 崩れるサイン:1Q・2Qで宇宙事業の増益が止まる/SPC関連の費用先行が想定超え/メディア事業の増益が一過性に終わる
前提 3衛星資産の健全性

衛星の打上げ・運用が事故なく進む

  • JSAT-31/32の打上げ(SpaceX契約)をはじめ、衛星の更新サイクルが事業の生命線。打上げ失敗・軌道上の故障は一発で計画を狂わせる
  • 崩れるサイン:打上げの失敗・延期/既存衛星の障害/宇宙保険料の急騰
遠い脅威構造変化

Starlink型の低軌道網が、静止衛星の市場をどこまで奪うか

  • 低軌道コンステレーションの通信品質・価格が上がるほど、静止衛星の伝統的な用途(企業通信・放送中継)は侵食される。この会社は防衛・データ・低軌道側への展開で「張り替え」を進めているが、移行の速度勝負は続く
  • メディア事業(スカパー!)の加入者減も長期の重し——増益はコスト側の努力であり、トップラインの縮小はいずれ限界が来る
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いまの株価は割高か、割安か(PER58倍→23倍の意味)

PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算)。

PERの推移(直近2年・日次) 2024-05 → 2026-08-14

計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。本決算のうち引け後開示(2024・2025年)は翌営業日から、14:00の場中開示(2026/4/28の本決算・2/4の修正)は当日から分母に反映。

いま
PER 24.7倍
2026-08-14(終値ベース・会社予想EPS 95.26円)
直近2年の中央値
17.9倍
およそ11〜48倍のレンジで乱高下
5月の高値時
約58倍
4,720円・当時の予想EPS 81.15円ベース——増益+16%の会社の物差しとしては極端だった

読み方 ── 配当株だった時代のこの会社のPERは10倍前後でした。防衛・宇宙のテーマ化で物差しは切り上がり、5月の頂点では58倍——増益率+16%の会社としては、数年分の成長を先に払った値段だったことが下落で証明されました。いまの23.2倍は、「国防インフラ企業」としての新しい定位置を探している途中の値です。防衛受注の利益化が確認されるたびに物差しは固まり、逆に利益化が遅れるほど、旧来の10倍台へ引力が働く——PERの水準そのものが、この銘柄の主戦場です。

いまの株価に織り込まれている前提

いまの2,213円(予想PER 23.2倍)は、「増益増配(純利270億円・配当48円)は達成し、防衛・宇宙の受注も着実に利益化していく」という前提を、5月の過熱を剥がしたうえで織り込んだ値段です。高値の「数年先まで織り込む」期待は清算されました。

崩れる合図──8月上旬の1Q決算で宇宙事業の増益が止まる/防衛案件の遅延・計画変更/打上げ・衛星の事故。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。

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価格の地図——過去1年、どの値段で折り返してきたか

売買の指示はしません。過去1年の値動きが「どの価格帯で折り返してきたか」を、機械的なルールで塗った地図です。決めるのは、この地図を見たあなたです。

価格の地図(直近1年・調整後終値) 2025-07-29 → 2026-08-10

この地図には2種類の帯があります。面の帯(塗り)=10日以上離れて3回以上、値動きが折り返した価格帯。青の斜線=下げ止まりの記録がある支持帯、橙の点=上値を抑えられた記録がある抵抗帯枠の帯(囲み)=大きな値動きが始まった起点の値幅(青枠=上向き、橙枠=下向きの起点)。帯の位置は機械的なルールで引き、名前(支持帯・抵抗帯・上場来高値の帯など)は分かりやすさのための呼び名です——手で選んでいません。チャート上の①〜⑤は、下の説明と対応しています。各帯のPERは会社予想EPS 95.26円(2027年3月期・2026-08-05開示)で換算した参考値で、予想EPSが変わればPERの位置も動きます。

① 支持帯 2,949〜3,116円(4月〜6月に3回接触・PER31.0〜32.7倍)

接触3回:下げ止まり2・割れ1・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=04/13、04/27、06/11

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

② 抵抗帯 2,124〜2,280円(25年12月〜26年1月に3回接触・PER22.3〜23.9倍)

接触3回:反落2・上抜け0・未決着1|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=12/08、12/24、01/20

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

③ 支持帯 1,959〜2,132円(25年12月〜26年7月に3回下げ止まり・PER20.6〜22.4倍)

接触3回:下げ止まり3・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=12/26、01/26、07/29

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

④ 抵抗帯 1,423〜1,580円(8月〜10月に3回接触・PER14.9〜16.6倍)

接触3回:反落2・上抜け0・未決着1|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=08/19、09/17、10/06

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

⑤ 支持帯 1,341〜1,478円(8月〜11月に3回下げ止まり・PER14.1〜15.5倍)

接触3回:下げ止まり3・割れ0・未決着0|判定期間:直近1年(2025-07-29〜2026-08-10)|接触日=08/15、10/14、11/05

この帯に近づいたら確認する3点——①次の決算・KPIの進捗 ②信用残の変化 ③市場全体の地合い

(②に重なる枠帯)26年1月の大きな上げの起点 2,112〜2,149円

2026-01-28から5営業日で+22.6%の上げが始まった日の値幅|その後の再訪1回:下げ止まり0・割れ1・未決着0|②の帯と大きく重なる(狭い方の帯幅の68%)=2つの別ルールが近い場所を指した帯

(④に重なる枠帯)25年10月の大きな上げの起点 1,464〜1,508円

2025-10-29から5営業日で+22.9%の上げが始まった日の値幅|再訪なし|④の帯と大きく重なる(狭い方の帯幅の100%)=2つの別ルールが近い場所を指した帯。ほかに⑤とも一部交差

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 906〜934円(25年2月の大きな上げの起点・現換算PER9.5〜9.8倍)

5営業日で+21.4%の上げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 867〜895円(24年7月の大きな下げの起点・現換算PER9.1〜9.4倍)

5営業日で-23.1%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前): 1,173〜1,223円(25年4月の大きな下げの起点・現換算PER12.3〜12.8倍)

5営業日で-14.2%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

◽ 参考(直近3年・直近1年より前)——ほか1本を開く
1,440〜1,467円(25年6月の大きな下げの起点・現換算PER15.1〜15.4倍)

5営業日で-8.5%の下げの起点。直近1年より前のため参考表示(チャートには塗っていません)。相場環境が今と異なる時期の記録です。

参考:PERの物差し(会社予想EPS 95.26円=2027年3月期予想・2026-08-05開示)

14倍=1,334円/15倍=1,429円/23倍=2,191円/24倍=2,286円/32倍=3,048円/33倍=3,144円。現値2,303円≒PER24.2倍。

※PERは会社予想が変わればラインごと動きます。帯とPER水準が重なるのは結果であって、どちらかが根拠というわけではありません。

⚠ 過去に折り返した帯・値動きの起点の帯は約束ではありません。支持帯を終値で2日連続下回った場合は、その帯の下げ止まり記録が崩れたものとして、次の開示と市場全体の地合いを確認します。帯のルール=面の帯:10日以上離れた接触3回以上・幅は接触価格±0.25ATR/枠の帯:直前5日の終値最安(最高)の日から5営業日以内に3.0ATR以上動いた日の値幅(値動きの大きい順に各方向3本まで・今回ほかに8本の起点を省略)。この帯は毎週、同じルールで機械的に引き直します。

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テクニカルと需給の現在地

下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。

下値の目安とサイン(日足75本) 〜2026-08-14

↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。

━ 青い線=25日線(2,577円)6月から一貫して上値の蓋。いまの2,213円は線の-14.1%下=下向きの流れの中
━ 赤い点線=直近安値(2,180円・7/24)この下落の最新の下値。ここを終値で割ると、次の節は2024年以前の水準まで薄くなる
━ 灰色の点線=第2波の起点(2,325円・2/3終値)2/4の上方修正で始まった急騰第2波の出発点。いまはこの下=第2波を全部返した位置。ここを上に回復できるかが最初の関門
上の節は2,700〜2,800円6/30の戻り高値2,677円・7/3の2,766円など、7月に跳ね返された帯。25日線もこの近くまで下りてくる
上場来高値 4,720円(2026/5/27・取引時間中)2年で9倍の頂点。この水準までの間に、5月に買った信用買いの在庫が戻り売りの供給源として層になっている

信用残の1年

信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移

信用残(週次)と売買代金 2025-07 → 2026-08-14

左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。

━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)いま348万株(7/17公表)=1日の出来高の約1.1日分。5月の急騰期に積み上がった分が高値圏に残り、戻りごとに売りたい人の在庫になっている
━ 青い線=信用売り残(あとで買い戻す予約)52万株・倍率6.7倍。急落時には売り方の買い戻しが反発の燃料になる程度の規模はある
棒グラフ=売買代金急騰期は1日100億円超、いまは10〜20億円規模(直近60日平均・約111億円)。時価総額 約6,588億円の中型株として流動性は十分

まとめ ── トレンドは明確に下向きで、25日線の下・第2波の起点も割り込んだ。信用買いの在庫が上値に層として残る。反転の確認は値動きだけでは難しく、8月上旬の1Q決算という「事実」が要る局面。全体の結論は最終章「総合判断」へ。

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総合判断と、今後の注目点

ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:増益増配・受注の在庫は厚い。ただし防衛案件の利益化はゆっくりで、高値はその時間軸を読み違えた値段だった/需給:高値圏の信用買い在庫が戻り売り圧力/テクニカル:▼53%の下落トレンド・第2波起点も割れた。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。

✅ 反転が「本物」と確認できるサイン(上向き)

  • 8月上旬の1Q決算(14:00場中開示)で、宇宙事業の増益と通期予想への順調な進捗が確認できる
  • 防衛・政府案件の新規受注開示が続く(この銘柄は開示の日に動く)
  • 第2波の起点2,325円(2/3終値)を終値で回復——清算完了の最初の形
  • 信用買い残の減少(高値圏在庫の整理が進む)

⚠ 下落継続・警戒のサイン(下向き)

  • 直近安値2,180円(7/24)を終値で割り込む——次の節は2024年以前の水準まで薄い
  • 1Q決算で宇宙事業の増益が止まる・SPC関連の費用先行が想定超え
  • 防衛コンステレーション事業の遅延・計画変更の開示
  • 打上げ・衛星の事故(JSAT-31/32はSpaceXでの打上げを予定)
  • AI・宇宙テーマ全体の調整の深まり(この2ヶ月はテーマ連動の下げが主因だった)

📅 次に見るカレンダー

  • 8月上旬:第1四半期決算──宇宙事業の増益スピードの初回確認(過去2年は8/6・8/7の14:00場中開示→当日に反応が出る癖。確定日は会社発表で更新)
  • 8月末ごろ:防衛省の概算要求——コンステレーション・宇宙関連予算の要求額はこの会社の追い風の定点
  • 随時:受注・提携の適時開示(この銘柄は開示の日に跳ねる)/JSAT-31/32の打上げ日程
  • 毎週:信用残の公表(買い残の整理の進み具合)
  • 11月上旬:第2四半期決算(前年は11/5)——通期予想に対する上期の答え合わせ

🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — スカパーJSAT(9412)

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出典・参考資料

このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。

出典をすべて見る(タップで開く)

スカパーJSAT HDの適時開示(一次情報)

  • 2025/7/31 政府機関向け地球観測衛星(SAR)データ提供業務を受注
  • 2025/8/20 JAXA宇宙戦略基金「衛星量子暗号通信技術の開発・実証」へ参画
  • 2025/11/4 防衛省向け地球観測衛星(光学)データ提供業務を約90億円で受注
  • 2025/11/27 JAXA先進レーダ衛星「だいち4号」観測データ・サービス事業者に選定
  • 2025/12/8 SpaceXと次世代衛星『JSAT-31』『JSAT-32』打ち上げ契約を締結
  • 2025/12/25 防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を落札
  • 2026/1/27 受託予定の特別目的会社(SPC)を設立/1/28 SpeQtralへの資本業務提携(衛星量子暗号通信)
  • 2026/2/4 連結業績予想の上方修正及び配当予想の修正(増配)——14:00場中開示・当日+11%の出典
  • 2026/2/20 防衛省と「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」に係る事業契約を締結
  • 2026/4/28 2026年3月期 決算短信——実績(売上1,276億・営業353億・純利233億・セグメント別内訳)とFY27予想(純利270億・EPS 95.26円)の出典/剰余金配当及び2027年3月期の配当予想(増配・48円)
  • スカパーJSATホールディングス 公式サイト(決算短信・開示資料の原本は公式サイトIRページから)

報道・市場イベント

  • SpaceXの米国上場(2026/6/12・NASDAQ):米主要メディア各社の報道に基づく。6/1の宇宙セクター同時安(QPS研究所▼13.9%・アストロスケール▼14.2%・Synspective▼11.3%・ispace▼12.4%・当社▼11.6%)は市場データの実測

データの出典

  • 株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX・電気機器セクター指数:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース
  • PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
  • 配当株時代のPER水準:当時の市場データに基づく参考値
  • 開示の時刻(14:00等):適時開示の公表時刻の実データ(「当日に反応」の判定に使用)

決算数値は適時開示の実数。受注案件の内容は各開示の記載に基づきます。

このページの約束:①嘘を書かない ②煽らない ③外れる条件(見直しのサイン)を必ず書く ④どこにも誘導しない。「上がる/下がる」は言い切らず、しくみ・事実・見直しの条件・見ておく場所だけをお伝えします。